リリカルなのは~優しき狂王~
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第十四話~解析~
前書き
少し遅いですが明けましておめでとうございますm(_ _)m
更新遅れ気味ですが今年も頑張っていくんでよろしくお願いします。
機動六課特別空間シミュレーター
ライがはやてと一緒に書類を片付けているとき、午前の訓練を終えたメンバーは昼食のために隊舎に戻ろうとしていた。
移動している途中でフェイトが思い出したような顔をしてなのはに話しかける。
フェイト「なのは」
なのは「ん?何、フェイトちゃん?」
フェイト「午後からの予定なんだけど、ライを少し借りたいの。」
なのは「ライトニングの訓練に参加させるってこと?」
フェイト「そうじゃなくて、この前の戦闘で回収したナイトメアフレームの分析をするんだけどそれにライも立ち会って欲しいの。」
リニアレールの事件の際に無力化したナイトメアフレームは管理局側が回収して分析していた。解析するだけならライは必要ないのだが、元来のナイトメアフレームを知らないためライの意見はそれだけで貴重なのだ。
なのは「そういうことなら、私はかまわないよ。」
フェイト「ありがとう、なのは」
こうして、本人のあずかり知らないところでライのこの日の訓練は参加不可能になるのであった。
管理局本局・技術局
午後の訓練に参加するつもりであったライは処理した書類の整理をしていると隊長室に入ってきたフェイトに頼まれ、ナイトメアフレームの解析について来ていた。
解析作業に参加したのはライとフェイトとシャリオの三人。主にライはナイトメアをシャリオはガジェットの解析を担当することになった。フェイトは二人の意見を吟味することにしていたため両方を担当することになる。
ライは技術局の雰囲気がロイドやセシルのいたキャメロットに似ていると思い辺りを見回す。そんなライの横では二人がいくらか言葉を掛け合っていた。
シャリオ「じゃあ始めますね。」
フェイト「うん。お願い、シャーリー。」
一言そう言い残し、ガジェットの解析にかかるためシャリオは二人から少し離れたデスクに向かった。彼女が離れたことを確認してからライはフェイトに尋ねる。二人の前には安置された三機の機体。それはリニアレールの事件で回収した無頼と月下であった。
ライ「フェイト、僕は何をすれば?」
フェイト「確かナイトメアの技術的な知識があるって言ってたよね?」
ライ「ああ。深いところまでは分からないけど、自分で整備できる程度には。」
バトレーからナイトメアフレームの情報を刷り込まれていると言っても製造に関わるところまではカバーできていなかった。前の世界でも自分の専用の機体の開発に携わってはいたが、あくまでやっていたのは要求仕様の資料作成やフィッティングなどの調整である。基本的には技術的な部分はロイド、セシル、ラクシャータのいずれかに頼ることになっていた。その三人しかライの要求に答えられなかったりしていたが。
しかしライのナイトメアを自分で整備できるレベルの技術を持っている。これは単独行動が他の人間よりも多くこなしていたこともあり、自分一人でできる行動の範囲を広げるためにライ自身が自分で身につけたものである。
基本的に大体の機体の整備はできるがライやスザクの乗る機体は調整にも高い技術力が要求されたため本人の機体は整備できないということになっていたりもした。
フェイト「それだけあれば十分だよ。今から解析するんだけど最初に気になるところは何かある?」
フェイトの質問に考える素振りを見せながらライは口を開く。
ライ「……動力源、ユグドラシルドライブ内のコアルミナスに使われるサクラダイトと呼ばれるレアメタルがある。そのパーツが何かで代用されているかもしれない。」
フェイト「それは特殊なパーツ?」
ライ「パーツというよりも、その材料のサクラダイトが希少なものだから。調べるとしたらそのあたりからの方がいいと思って。」
サクラダイトはその特性と希少性故に国の政治に深く関わる程のものであった。その為ライはサクラダイトのような資源が存在するのかどうか確かめたかった。
ライは説明を終えると機体を調べ始める。フェイトはシャリオの方に戻りガジェットのデータを確認していた。
まず念のためコクピットを確認する。中身は普通のコクピットとほとんど同じであった。操作はプログラムで命令された通りにしか動かないようになっている。そのおかげで事件の時に無頼の二機をフリードは簡単に誘導できることができた。
コクピットの確認が終了したあとは話した通りにコアルミナスを確認する。エナジーフィラーの収納部分を開きそこに接続しているコアルミナスの部分を確認する。そこにあったのは青い宝石。
ライ「これは…クリスタル?」
基盤に埋め込まれるようにされて搭載されたそれを取り出す。するとちょうどその時に声が掛かる。
フェイト「ライ、何か分かった?」
ライ「代用品らしきモノはあったけど、僕にはわからない。今そちらに持っていくよ。」
その宝石を持ちフェイトの方に向かう。その間に彼女はシャリオに指示を出す。
フェイト「シャーリー、ガジェットと共通のパーツがあるかどうか調べて貰える?」
シャリオ「はい。」
ライ「フェイト、これがさっき言った代用品だと思う。」
差し出された宝石を見てフェイトの顔色が変わる。
フェイト「…!これってジュエルシード。」
驚愕と困惑の表情を顔に貼り付けているフェイトを気にかけつつライは尋ねる。
ライ「それは?」
フェイト「昔、私となのはが集めていたロストロギア。今は管理局の保管庫で厳重に管理されているはずなんだけど。」
ライ「…なんでそんなものが?」
シャリオ「フェイトさん。ガジェットの内部回路の画像に似たようなものが。」
新たな疑問について考えようとした瞬間にシャリオからの報告が入る。二人が彼女のデスクに近づき一つの画像を見つめる。そこには先ほどのジュエルシードと似ている物が埋め込まれていた。画像を観察しているとフェイトがあることに気付く。
フェイト「…シャーリー、回路の右上を拡大してもらえる?」
シャリオ「わかりました。」
ライ「これは…名前?」
フェイト「ジェイル・スカリエッティ。」
拡大された部分の文字を見てフェイトがつぶやく。その雰囲気がいつもと違うことに一つの予想をしてライはきく。
ライ「知っている人物か?」
フェイト「うん。ドクタージェイル・スカリエッティ。ロストロギア関係の事件や違法研究が原因で広域指名手配されている次元犯罪者。」
ライ(ドクター…ならウーノさんの上司はこの人か……)
ライがまだ研究所にいた時にウーノから何度かその言葉をライは聞いていた。ウーノはその時ドクターを自分の上司と言っていのだ。
フェイト「個人的な事情で何年か前からこの男の行方は追っていたんだ。彼が犯人だとすればロストロギアを集める理由も想像がつく。」
シャリオ「でもなんでこんなに判りやすい手がかりを?」
フェイト「…ライはどう思う?」
フェイトの問いかけに即座に考えつく限りの予想を上げていく。
ライ「自信があるからこその挑発、もしくは犯人が名前を借りているだけ。あとは兵器を売り込むための売名狙い。」
即座に帰ってきた応えに驚きつつもフェイトも自分の考えを語る。
フェイト「うん。でももう一つ分かることがある。向こうは私やなのはを知っているってこと。シャーリー、このデータをまとめて隊舎に戻ろう。他の隊長たちと緊急会議をしたいんだ。ライ、君にも出席してもらうよ。」
シャリオ「わかりました。」
ライも首肯しそれに応えた。
車内
技術局からの帰り。フェイトの運転する車に乗り、ライは流れていく景色を眺めながら思ったこと口にした。
ライ「フェイト。さっきの人物、ジェイル・スカリエッティの目的に検討がついているなら教えてくれないか?」
フェイト「彼はドクターの通り名どおり生命操作や生体改造に異常な情熱と技術を持っている。そんな彼がガジェットやナイトメアみたいな兵器を作ってでも手に入れようとしているからには…」
車内に沈黙が訪れる。フェイトとシャリオはこの事件の真相について考える。しかしライは二人とは違う部分で反応した。
ライ(生体改造……まさか…な。)
一瞬自分の中に過ぎった予測を振り払うようにまた外の景色を眺める。しかしその景色は先ほどよりも色あせて見えた。
後書き
次回は少し早めに投稿できるように頑張ります。
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