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戦国異伝供書

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第百三十話 時が来たりてその三

「幾らお主達が強くともじゃ」
「それでもなんだ」
「一人の力は知れておる」
 そうだというのだ。
「所詮な、だからな」
「それでなんだ」
「一人で何かをするよりもな」
「二人でやんすな」  
 煙が笑って言って来た。
「そして二人でいるよりも」
「三人でな」
「四人でやんすな」
「三人よりもな」
「そうしていくことでやんすな」
「うむ、それとな」
 居士はさらに話した。
「もう一つある」
「といいやすと」
「一人で何かをする時もある」
 そうした時もというのだ。
「忍の者はな」
「そうですね、敵の城に潜り込み話を密かに聞いたり城を調べたり」
 鏡が応えた。
「そうしたことをする時も」
「あるな」
「忍の者ならば」
「だからな」 
 そうした時はというのだ。
「くれぐれも無理をせず」
「そうしてですか」
「そうじゃ、生きるのじゃ」
「私達は」
「死ぬことはならん」
 断じて、そうした言葉だった。
「わしより先にな」
「お父より跡となりますと」 
 ヨハネスは笑って言った。
「もうそれはです」
「かなり先か」
「お父は何時まで生きられるかわからないので」
「まあ百二十まではな」
「百二十ですか」
「そこまで生きるつもりじゃ」
 ヨハネスに笑って返した。
「だからな」
「それで、ですか」
「うむ」
 まさにというのだ。
「命を軽んじるな、何があってもな」
「私達全員がですね」
「生きよ」
 こう言うのだた。
「よいな」
「それでは」
「そのことは言っておく、それとな」
 居士はさらに言った。
「お主達闇には注意せよ」
「闇?何それ」
 萌は居士の言葉に首を傾げさせて返した。
「私達別に夜暗くても怖くないよ」
「いやいや、そうではない」
「違うの」
「そうじゃ、夜の暗さでなくな」
「闇をなの」
「それにじゃ」
「気を付けてな」
 そしてというのだ。
「そうしてな」
「そのうえで」
「そして見たならな」
 その闇をというのだ。
「祓うのじゃ」
「その闇をなのね」
「そうせよ、よいな」
「そう言われてもね」
 萌はまた首を傾げさせた、そうして言うのだった。 
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