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戦国異伝供書

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第百三十話 時が来たりてその二

「だからな」
「それでなの」
「お主達が心配することはない、わしは本朝にずっとおるからな」
「ではまたか」
 拳は居士に問うた。
「機があれば」
「うむ、会えるやもな」
 これが居士の返事だった。
「そしてその時は共に飲むか」
「さすれば」
「食べることもしよう」 
 こう言ったのは毬だった。
「思いきりね」
「うむ、飲んでな」
「そしてだね」
「食ってな」
 そうしてというのだ。
「楽しもうぞ」
「それじゃあね」
「その時を楽しみにしまして」 
 そしてとだ、鏡も言った。
「今は」
「暫しの別れじゃ」
「暫しですね」
「また会う時がある」 
 居士は優しい声でこうも言った。
「だから別れるといってもな」
「それでもですね」
「悲しむことはない、子は必ず親から離れる」
 そうなるというのだ。
「だからな」
「悲しまずですね」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「別れよう」
「今は」
「その様にな」
「ううん、悲しいけれど」
 獣はそれでもと言った。
「また会えるんだね」
「そうじゃ」
「だからだね」
「悲しむことはない」
 決してとだ、居士は獣にも話した。
「それはな」
「それじゃあ僕もだね」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「悲しむことなくな」
「それでだね」
「達者でな」
「それで織田様にお仕えしたら」
 ここで言ったのは大蛇だった。
「おいら達はだね」
「そこでもお主達は一緒でな」
「そしてだね」
「そしてじゃ」
「一緒にだね」
「戦うこともな」
 それもというのだ。
「していくのじゃ」
「おいら達は一緒だね」
「常に助け合ってな」
 そしてというのだ。
「この戦国の世であるが」
「それでもだね」
「誰も欠けることのない様」
 その様にというのだ。
「なるのじゃ」
「うん、そうなるよ」
 大蛇も約束した。
「絶対にね」
「そうなれ、そしてな」
「そして?」
「誰も死なぬ為にはな」
「今お父が言った通りにだね」
「左様、常に助け合うことや」
 飛騨者同士がというのだ。 
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