DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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敵を見極めよ
<サマンオサ>
脇目も触れず城を目指すリュカ。
かなりの速度で歩く為、歩幅の小さいマリーはついて行けず、ウルフに抱き抱えられる程だ。
だがリュカの歩みは止まらない…
サマンオサ城の正面入口に辿り着いたリュカ…
そこで門兵に進入を止められる。
「止まれ!これ以上は陛下の許しがある者のみが進入出来る。お前達の事は聞いていない!引き返して帰りなさい!」
門兵は頑なに、リュカ達の進入を拒む…尤もそれが仕事なのだが…
「悪いけど通してほしい…この国の現状に文句を言いたいからね!」
リュカはワザと不平を言いに来た事を告げる。
不平を言うだけで反逆者扱いの国で、リュカの行為は既に大罪…
この門兵が武器を構え襲ってくると思い、僅かに身構える………が、
「悪い事は言わん…命が惜しかったら、諦めるのだ。不平を言っても何も変わらんし、そんな事すれば後ろの女性達が酷い目に遭う…」
門兵の言葉に後ろを振り向くリュカ。
どうやら彼(リュカ)は気付いて無かった様だ…アルル達皆が付いてきている事に…
「早々にこの国から出て行くが良い…それがお前等の為だぞ!」
彼の言葉に全てを理解したリュカは、アルル達を連れ入口から少し離れた物陰に移動する。
「お父様、あの兵士さんもぶっ飛ばしちゃいましょうよ!」
「ダメだよマリー…彼は善人だ………彼もこの国の惨状を憂いでいるんだ。でも、彼には力がない…目を瞑り、自分を守るしか出来ない…そんな彼に罪はない」
悲しそうな瞳でマリーを諭す…
「う~………じゃぁどうするんですか、お父様!折角此処まで来たのに!?」
「まぁ……裏口でも探すよ………つーか、何でみんな付いてきてるの?これから王様と喧嘩しようとしてるんだよ!正気の沙汰じゃないんだよ!?」
「父さんが正気の沙汰じゃないのは何時もの事でしょう!むしろ今回は普段よりまともだと思ってるのですが!?」
「そうよリュカ!珍しくまともな行動をしてるんだから、家族として…仲間として、それについて行くに決まってるじゃない!」
「うわぁ…お父様、家族に愛されてますぅ!普段の行いが良いと、こうも家族愛に満ち溢れるのですねぇ…」
「君達の言葉は、嫌味にしか聞こえないのですが!はぁ、まぁいい…付いて来るのならば、僕の指示には従ってもらうよ。勝手な行動は慎んでくれ!」
「「「は~い」」」
こんなリュカファミリーのやり取りを見て、ハツキが小声でウルフに問いかける。
「アンタ、頑張りなさいよ!このファミリーの一員になるのは並じゃないわよ!」
ウルフは黙って頷く…頬を染め、幸せそうに。
正面入口を避け、城の周囲を見回るリュカ達。
程なく見張りの居ない裏口を見つけ、其処から城内へと侵入する。
その入口は所謂勝手口で、城の台所へと直結している。
中では女中達が、大量の食事を用意している。
そんな料理に忙しい女中達を尻目に、城内を進んで行くリュカ達…
目的の部屋は直ぐに見つかり、国王が鎮座する部屋のドアを勢い良く開け、一斉に雪崩れ込むリュカ達…
其処は大量の酒と料理に囲まれ、大勢の裸の美女を侍らせる男が居る…
「うわぁ…アイツも目が濁ってる!」
国王らしき中年の男を、一目見るなりリュカが呟く。
「まぁ!では、あの方もモンスターなのですね!?ぶっ飛ばしちゃいましょう!イオナ…ふがん!」
リュカの言葉に反応し、早速魔法を唱えようとするマリー。
慌てて娘の口を塞ぎ、魔法を遮るリュカ。
「コラコラコラ!こんな所で魔法を唱えたら、周りにいる女性達まで吹っ飛んじゃうだろ!今はまだダメ!」
口を塞いだままマリーを抱き上げ、彼女の暴走を止めるリュカ。
「キサマら…何やつだ!?誰かある、曲者じゃ、こ奴等を牢に放り込め!」
まともに王様 (?)と会話することなく、リュカ達は複数の兵士に囲まれる。
「さぁ…無駄な抵抗はやめて、大人しく来てもらおうか!」
警備兵の隊長らしき人物が、静かな口調でリュカ達を威圧する。
アルルやモニカは彼等に攻撃を仕掛けようとしたのだが、それをリュカが制し大人しく警備兵に従った。
リュカ達は纏めて広めの牢屋へと閉じこめられた。
「リュカさん!何でさっきは止めたんですか!?」
この国のあり方に、あの国王に、そして今の状況に不満を持つアルルが、リュカに食って掛かる!
「まぁ落ち着いて…悪の元凶は、あの国王に化けたモンスターだ!他の兵士等は人間だよ…フィービーの話では、国王に気に入られている者が特務警備隊になれるんだ。城で警備をしている連中は、殆どが奴等ではないだろう…こんな所で燻っていても、何の徳にもならないからね。きっと今頃は、城下の何処かで悪逆非道な行いに熱中しているはずさ!」
「…それは分かりました!でも、掴まっちゃったら意味ないじゃない!この後どうするのよ!」
まだ怒りが収まらないアルル…
リュカとの問答は続く…
「うっへっへっへっへっ………本当だ、良い女が居るじゃねぇか!」
暫くアルルとリュカが問答をしていると、入口からガラの悪そうな兵士が一人、リュカ達の牢へと近付いてくる。
「ん!?何だアンタ?牢屋の番兵には見えないが…」
「へへへへ…さっきまで居た下っ端番兵はもう居ねぇよ…特務警備隊の俺様が、今此処の番兵だ!そして明日には、お前等を拷問する拷問官にもなるし、懲罰を与える執行官でもある!」
男はイヤらしい笑みを浮かべながら、リュカ達を舐める様に見回す…
どこかでリュカ達の情報を仕入れた男は、他の仲間に先んじて楽しもうと思い、此処へ訪れた様だ。
「拷問かぁ…やだなぁ…ねぇ、見逃してよ!」
リュカの緊張感のない声が辺りに木霊する。
「馬鹿な事言ってんじゃねぇ!お前等の様なテロリストを野放しにするわけにはいかねぇんだよ!………と、言いたい所だが…その娘はお前の娘か?」
男がリュカが抱いてるマリーを指差し尋ねる。
「…あぁ、僕の娘だ」
「へっへっへっ…俺様好みの良い女じゃねぇか…そいつを差し出せば、お前だけを逃がしてやっても良いぜ!」
「マリーを差し出す………!?」
リュカの声のトーンが落ちると共に、アルル達の背筋に悪寒が走る。
「あぁそうだ!娘を差し出し、目の前で俺様に犯されるのを見学していけば、お前だけを逃がしてやるよ!」
「…俺が娘を差し出し、犯されるのを見学する……………良いだろう、ほら俺の娘を犯すが良い…約束…守れよ!」
リュカが鉄格子越しに、男へマリーを差し出した。
「な!?リュカさ…ふが!」
非難の声を上げようとするウルフ…
しかしティミーがウルフの口を塞ぎ黙らせ呟く。
「落ち着けウルフ君…父さんの口調が変わっただろ…自分の事を『俺』と言っている。もう既にブチ切れている…マリーを差し出したりはしないよ」
事実ティミーの言う通りだった!
ロリコン野郎は美少女を前に、慌てて牢屋の鍵を開け進入してくる。
そしてマリーに抱き付こうと、近づいた次の瞬間…
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