FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
オリジナルストーリー
灼熱の国編
神話の中の者たち
前書き
お久しぶりです。
今回からオリジナルストーリーをやることにしました。
賛否両論あると思いますが、もうひたすら遊ばさせてください。
嫌な方はすぐさまバックボタンをお願いしますm(__)m
第三者side
薄暗い霧の中。そこには老若男女問わず、多くの人影が集まっていた。
「またずいぶん荒れたみたいじゃない、アースランド」
その中の一人の女性・・・といっても周りの人影たちと動揺顔は見てない。それは相手にも同じであり、お互いの素性が全く判別できないようになっている。
「まぁ、争い事が絶えないのは仕方ないのよねぇ、恵まれてるから」
そう言ってニヤリと微笑む女性にムッとする質問を投げ掛けた女性。いや、彼女に視線を向けたのは一人ではない。多くの人影が彼女の方を向いていたのだ。
「与えすぎると人たちはそれを奪い合う。未熟な存在の扱いも大変ね」
「あら、私はこの子たちが自分たちで生きていける世界を作っているの。あなたたちみたいに決まりきった世界に当て嵌めるなんてしないの」
イヤミを言ったはずの彼女はそれをあっさりと返されてしまい奥歯を噛み締めているのが雰囲気だけでも感じられる。
「全員、静かにしろ」
その声が聞こえた途端、霧に包まれた人影たちの声が一斉に静まっていく。
「揃っているようだし、今回も始めるか」
全員の視線が届くところ・・・と言っても、彼の姿もしっかりと見えないほどの黒い霧に包まれたその場では、大した意味もないのだろうが。
「これからの世界構築の会議をね」
シリルside
「だからぁ!!なんでダメなんだよ!?」
「うっせぇなぁ!!人の話し聞いてなかったのかよ!!」
ここは評議院。額をぶつけ合い火花が出るほど睨み合っているのは俺たちが所属している妖精の尻尾の魔導士ナツさんと魔女の罪から聖十大魔道が管理することになった評議院へと加入することになったカミューニさん。
「あの・・・エルザさん?」
「なんだ?」
ただならぬ様子の二人。しかし、今俺とウェンディはそれどころではない。その理由は今の体勢にある。
「なんで俺たち急に連れ出されたんですか?」
「まだ依頼も見てなかったんですが・・・」
ギルドに着くと同時にエルザさんの脇に抱えられてナツさん、グレイさん、ルーシィさんたちと一緒に評議院まで連れてこられた俺とウェンディ。シャルルとセシリーがずっと彼女に何か文句を言っていたが、全然聞く耳を持ってもらえずこんなことになってしまっているのだ。
「実はナツがあの戦いが終わったらやりたいことがあるってずっと言ってたの」
「やりたいこと?」
「ギルダーツが途中で断念した100年クエストのことだ」
「「えぇ!?」」
ルーシィさんとグレイさんの言葉に驚かざるを得ない。100年クエストって確か100年間誰にも達成されないくらい困難なクエストだったはず・・・
「あれ~?でもそれって~・・・」
「レオンが失敗して打ち切りになったって話じゃなかった?」
首をかしげながら口を開くセシリーとシャルル。言われてみれば、レオンがジュラさんに頼まれてチャレンジした時にアクノロギアと遭遇してしまい、危険すぎると判断されたはず・・・
「いや、ギルダーツが受けた100年クエストとレオンが受けた100年クエストは別物らしい」
「10年クエストとかも色々あったし、解決困難な依頼って多いみたいだからね」
どうやら100年クエストは一つではなかったらしい。確かにこんなに色々な起こるなら、あまりにも難しい依頼も一つではなくて当然かもしれない。
「それで、なんであんなにナツさんとカミューニさんは揉めてるんですか?」
しかし、気になるのは今の二人の様子。なぜクエストを受注するのにあれほどまでに揉めなければならないのだろうか?100年クエストだからかな?
「評議院には以前から依頼の受注をお願いしていたんだが、なぜか断られてしまってな」
「力不足と判断されたってことですか?」
「いや、それがそうでもねぇんだ」
何がなんだかわからない俺とウェンディは首を傾げるしかできない。仕方がないので、状況を把握しようと二人の口論に耳を傾けることにした。
「俺たちなら絶対達成できるって!!」
「だから論点はそこじゃねぇんだって何回言わせんだ!!」
「お兄ちゃん落ち着いて」
今にもバトルを始めるのではないかと言うほどの二人にメルディさんが割って入る。ナツさんもルーシィさんに取り押さえられると、冷静な口調でエルザさんがカミューニさんへと問いかけた。
「何が問題なんだ?カミューニ」
「これだよこれ」
そう言ってカミューニさんはあるものを指差す。それを見た瞬間、全員の顔が硬直した。
「な・・・なんですかあれ・・・」
「今にも崩れてきそうなんですけど・・・」
この先にあるのは俺たちの背丈よりもはるかに高く積み上げられている書類の山。いつ崩れてもおかしくないほど積み上げられているそれを見て、俺とウェンディの顔はひきつっていた。
「信じられないだろうけど、これ全部新規の依頼なんだぜ」
「「「「「えぇ!?」」」」」
カミューニさんの言葉に驚愕の色を隠せない。依頼ってこれ全部が!?フィオーレの人口より多いんじゃないの!?総人口知らないけど。
「なんでこんなに依頼が溜まってるのよ!?」
「オイラたちそんなに問題起こしてないぞ!!」
「自覚はあるんだね~」
エクシードトリオの言いたいことはわかる。俺たちの所属している妖精の尻尾は問題児だらけのギルド。それゆえに、依頼を達成してもまた別の依頼を引き起こしてしまうケースがあるんだよね・・・
「あれ?でもこの依頼って・・・」
なんて勇気があるのだろう、今にも崩れ落ちそうな書類の中から一枚の依頼書を引き抜くと言う人間業とは思えないものを見せてくれたルーシィさん。彼女が見ている依頼を見ると、そこには見たことがないような地名が記載されていた。
「この依頼は全部他国から魔導士ギルドへの依頼書だ。なんならこれ全部やると世界一周できるぜ」
「笑いながら言うことじゃないような・・・」
ニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべながら冗談とも取れないようなことを言うカミューニさん。他の依頼も試しに見てみると、聞き覚えがあるような有名な国から全く耳にしたことがないような国まで様々あった。
「なんでこんなのが評議院に来るんだよ」
「隣国とかならわかるが、それよりも遠い国もあるじゃねぇか」
ナツさんとグレイさんの言う通り。周辺の国から依頼が来ることは今までもあったみたいだけど、今回はそれを明らかに越えた範囲で依頼が来ている。なぜこんなことになっているのか説明を求めると、カミューニさんとメルディさんの後ろからジュラさんが歩いてきた。
「アルバレスにいたティオスと天海が多くの国を滅ぼしたのは覚えているかな?」
数人から視線を感じたのでとりあえず目を逸らす。いや、あれは俺であって俺ではないわけで責められる理由はないはず・・・
「ティオスと天海のせいで多くの国が滅んだ・・・といっても全滅したわけではない。奴らも自分たちに戦いを挑んでこない者たちは見逃していたようでな」
「生き残った中で国を再建しようとする奴らもいたが、魔導士や傭兵とかはほぼ全滅。それでも何とかしようとしてたんだが、最近妙なことが起こってるみたいでな」
「妙なことですか?」
コクリと頷き続きを話し始める二人。
「なんでも、今までに見たことがないモンスターたちが姿を現すことが増えたらしい」
「それだけでも魔法も戦う力もないメンツからすれば問題なのに、天変地異やらも起きるせいで作業が全然進まねぇらしい」
「だから数少ない魔導士が残っているフィオーレに依頼を出す国がたくさんあるのよ」
生き残った人たちでは解決できそうにないようなアクシデントが多発しているらしく、フィオーレへと依頼を出してくれた他国の人々。評議院としては、100年クエストよりもそちらの解決の方が重要と判断したらしく、今回のナツさんたちの依頼受注は却下されていたらしい。
「私たちにもそれをやってほしいってことか?」
「そうだな」
「だが、フィオーレ内からの依頼も無視はできねぇ。だから依頼に行くメンバーには制限が生まれっけど・・・」
チラッとナツさんの方を見るカミューニさん。それを聞いた彼は、大きく頷いた。
「問題ねぇよ!!そのあとは100年クエストに行かせてくれんだろ?」
「この依頼が片付いたらな」
そう言って高すぎる書類の山を指差したカミューニさん。ナツさん以外の面々はその量に顔を強張らせていた。
「よし!!そうと決まればすぐにでも出発だ!!」
思い切り手を叩いてやる気の表れを見せるナツさん。彼はそう叫ぶと、出口へ向かって走り出してしまう。
「あ!!ちょっとナツ!!」
「おい!!どの依頼に行くかも決まってねぇだろ!!」
どの依頼に行くのか、そもそもどこに行くのかも決まっていないのに先走っていく彼の後を皆さんも一緒に追っていってしまう。
「相変わらずだな、妖精の尻尾は」
「な・・・なんかすみません・・・」
「お騒がせしてしまって・・・」
取り残された俺とウェンディの頭に手を置きながらイヤらしい笑みを浮かべているカミューニさん。対する俺とウェンディはいたたまれない気持ちになっており、顔を俯かせることしかできなかった。
第三者side
「じゃあ、今回の会議も以上で終わりかな」
「おい!!ちょっと待てよ!!」
他者の顔もわからないほどの黒い霧の中、まとめ役を務めていた男の声が場を締めようとした時、突如怒声が響き渡る。
「どうしたんだい?そんなに怒って」
「どうしたんじゃない!!あいつの処罰はどうなってるんだ!!」
そう言って彼が指を差したと思われる方向にいるのは黒髪の女性。まとめ役の男は、彼が何を言いたいのかをすぐに察知すると、小さくタメ息をついた。
「別にいいんじゃないかな?君の世界でもそれなりに問題は起きていると思うけど」
「ぐっ・・・」
そんなことを言われると彼は奥歯を噛み締めながら言葉を飲み込む。彼が静まったことに満足した男は周囲を見渡す。
それによりざわついていた周りの面々も妙な圧を感じ取ったのか、静まり返っていた。
「他に言いたいことある人は?ないなら、これで解散ね」
そう言った瞬間、全員から見える位置にいたその男はすぐに姿を消してしまう。
「・・・」
「おい!!待てよ!!」
彼がいなくなったのを見計らって標的にされていた女性もすぐにその場から姿を消す。彼女を呼び止めようとしたが、聞こえていないかのようにすぐにいなくなってしまい、苛立ちを隠せなくなっていた。
「大丈夫?」
「落ち着けよ、お前は」
集まりが解散したこともあり、他の者たちも徐々にその場から去っていく。その中でも、一人荒ぶっていた男の元に男女が一人ずつ近づいていく。
「お前らはどう思う?」
「どうって・・・」
「別に・・・どうでもいいんじゃね?」
男に問われ困ったように隣の男に振る女性と、それに対して適当に返す男。だが、肝心の人物はその声も耳には届いていないようだ。
「俺は気に入らねぇ。バーン!!」
「はっ!!」
突如炎が巻き上がり、そこから姿を現したのは真っ赤な炎のような形をした髪型をした男。彼を見ると男はニヤリと笑った。
「アースランドで暴れてきていいぜ。もちろん、やり方は任せてやる」
「はっ!!」
指示を受けるや否や不敵な笑みを浮かべていなくなる男。それを見ていた二人は大きなタメ息をついた。
「バレたら怒られるぞ」
「消されちゃうかもね」
「関係ねぇよ。俺は俺のやり方を信じてる」
男は立ち上がり、二人に背を向けたまま口元を緩めていた。
「お前らも自分の道を見極められなきゃ、いつまでも後退したままだぜ」
そう言い残しその場から姿を消す男。残された二人は目を合わせると、やれやれと言った表情でその場から立ち去っていった。
後書き
いかがだったでしょうか。
今回から完全オリジナルストーリーです。
本当は100年クエスト編でシリルにもウェンディ同様化け猫になってほしかったですが、創作意欲がこちらの方が上回ってしまいました。
4部構成くらいになるかなと思っておりますが、場合によっては増えたりするかもしれません。
ページ上へ戻る