雄猫も育てる
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第二章
「ニャア」
「ナア~~~」
「ニャン」
「ニャオン」
「ミャ~~ン」
「ニャンニャン」
「ナ~~~オ」
ミルクはあげられないが何かと教え一緒に寝て困ったことがあれば助けた、その彼等を見てだった。
心ある人が七匹一緒に引き取った、その人は既に家にいた二匹の猫茶色と黒の虎模様で白い腹のアメリカンショートヘア達をスタッフ達に見せて話した。
「この子達そっくりですが親子じゃないんです」
「そうなんですか」
「本当にそっくりですが」
「違うんですか」
「両方共雄で」
それでというのだ。
「大きい子がカール、小さい子がフレッドです」
「雄で、ですか」
「二人共そうで、ですか」
「それで、ですか」
「カールがある日フレッドを拾って来て。首根っこを咥えてうちに連れて来まして」
そうしてというのだ。
「それからずっと育ててるんです」
「雄猫でもですね」
「ダウトみたいにしてるんですね」
「そうしてるんですね」
「その子達がいて」
その人はスタッフの人にさらに話した、恰幅のいい白人の中年男性である。何でも大きな農園を持っているという。
「またこの子達が来てくれますね」
「宜しくお願いします」
「この子達のことも」
「幸せにしてあげて下さい」
「そうさせてもらいます」
七匹を引き取ったうえで約束した、そして。
スタッフの人達は七匹が引き取られた家の中で幸せに暮らし先にいた二匹とも仲良くしていると聞いた、そうして話した。
「雄猫でもですね」
「ちゃんと子供を育てるんですね」
「しかも血がつながってなくても」
「そうしたことをする子がいるんですね」
「そうなんですね」
「知りませんでした」
このことはというのだ。
「僕は」
「僕もです」
「私もです」
「まさかと思いました」
「ですがそんな猫もいるんですね」
「子育てをする雄猫が」
「血がつながってない子猫を育てる雄猫が」
そうした猫達がいるというのだ。
「そうした猫もいる」
「そのことは覚えておきましょう」
「これからも」
「そうして活動を続けていきましょう」
スタッフの人達は話した、そしてだった。
それからも活動を続けていった、そうした猫もいることを頭に入れながら。すると余計に猫それに他の生きもの達が愛おしくなり活動に身が入った。
雄猫も育てる 完
2021・3・28
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