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レーヴァティン

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第百九十六話 鎌倉入りその七

「小田原も手に入れるとしよう」
「左様ですね」
「ではそうしましょう」
「そしてそのうえで」
「相模を完全に手に入れますね」
「そうする、だがもう小田原以外の場所は幕府の勢力圏に入った」
 このことを言うのだった、ここで。
「そしてそのことはだ」
「小田原も知っていますね」
「あちらの領主も」
「そして家臣達も」
「知らない筈がないですね」
「既に孤立している」
 小田原はというのだ。
「ならかなりだ」
「不安を感じていますね」
「孤立している状況に」
「そうなっていますね」
「それを感じないなら相当な愚か者だ」 
 こう言い切った。
「ならだ」
「ここはですね」
「そこを衝きますね」
「そうしていきますね」
「そうする」
 将帥達に話した。
「城を攻めるのでなくな」
「人を攻める」
「それが上策である故に」
「ここはそうしますね」
「小田原城も街もな」
 その両方をというのだ。
「出来る限りそのままで手中に収めたい」
「巨大で見事な城です」
「そのまま使えば大きいですね」
「幕府にとっても」
「小田原は東海道の要地だ」
 それ故にというのだ。
「あの城を抑えると護りになる、そして街もな」
「東海道の要地故に栄えていますね」
「城の中にあるそちらも」
「そうなっていますね」
「だから街もな」
 城だけでなくというのだ。
「出来る限りそのままだ」
「手に入れていきたいですね」
「そうしていきたいですね」
「ではですね」
「この度も」
「人を攻める」
 もっとはっきり言えば小田原にいる者達の心理をというのだ、英雄は鋭い顔になってそのうえで話した。
「そうしていく」
「左様ですね」
「それではですね」
「小田原を孤立させましたし」
「それでは」
「攻めていく、ただあの城は兵糧は多いという」
 多く備えているというのだ。
「だからただ囲んでな」
「兵糧攻めにしてもですね」
「その場合は歳月がかかりますね」
「そうなりかねないですね」
「時間をかけることはしたくない」
 出来る限りというのだ。
「それはな」
「他の国も攻めねばかりません」
「それならばですね」
「それはしたくないですね」
「時間をかけて攻めることは」
「そうだ、出来る限り短くだ」 
 小田原を攻めるにしてもというのだ。
「そうしたい」
「左様ですね」
「それではですね」
「そうしたことも考え」
「これより」
「小田原に進む」
 こう言ってだった、英雄は駿河から来た兵だけでなく相模や伊豆の降った者達の兵も小田原に向かわせた。そうして。 
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