いつも駆け回る猫達

　　　　　　　　　　　　　　　　いつも駆け回る猫達
　ニューヨークの動物病院に一匹の子猫が保護された。
　マックと名付けられたその子猫は雄で茶色の毛で足首が白い。このことは他の猫と同じであったが。
　下半身に障害があり後ろ足が動かない、それでだった。
　病院にいるスタッフ達は里親も見付かった彼の為にあるものを造った。
「これでいいですね」
「そうですね、これなら大丈夫です」
「マックも満足します」
「楽しめます」
「じゃあ早速マックにプレゼントしましょう」
「そうしましょう」
　完成したそれを見て話した、そして。
　実際にマックにそれをプレゼントした、それは小さな猫用の車椅子だったが。　
　その車椅子を付けてもらったマックは。
　普通の猫と同じ様に身軽に動ける様になった、これには里親になった夫婦も驚いて言った。
「足が悪くてもと思っていました」
「命が救われるなら」
「けれどですか」
「この子に贈りものをしてくれたんですね」
「はい、このままでは不自由だと思いまして」
　病院の院長が話した。
「ですから」
「それで、ですか」
「車椅子を造ってマックにプレゼントしてくれたんですね」
「そうしてくれたんですね」
「この子の為に」
「はい、もう他の子と同じ様に動けます」
　そのことが可能になったというのだ。
「無事に。ですから」
「それで、ですね」
「これからはこの子もですね」
「足が悪くても大丈夫です」
　院長は里親になる夫婦に笑顔で話した、マックは夫婦の子供になったがその車椅子を使っているも身軽に動いた。
　カナダのマウンテンビュー病院にキャシリーという雌猫がいた、黒い毛で足首の白い猫である。事故で後ろ足を失い。
「よくこれで九週間も生きていましたね」
「ええ、足がないのに」
「一匹で森の中に」
「それだけで奇跡です」
「その奇跡を大事にしましょう」
「そうしましょう」
「では」
　動物病院のスタッフ達もその後ろ足が不自由な猫に対して何かしてあげようと思った、それでだった。
　車椅子を造ってキャシリーにプレゼントした、すると。
　キャシリーも自在に動ける様になった、そしてだった。
　里親になった老夫婦はその彼女を見て言った。
「いや、まさか」
「こんなプレゼントをしてくれるなんて」
「この娘も楽しそうですね」
「それも凄く」
「はい、足が不自由でも」
　それでもとだ、獣医は話した。