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歪んだ世界の中で

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第八話 友情もその六

「そうしてね」
「いいよ」
 にこりと笑ってだ。快諾する千春だった。
「何時でもいいよ」
「何時でもなんだ」
「だって。希望は千春の恋人だから」
 その笑みでの言葉だった。
「だからね」
「それでなんだ」
「そうよ。何時でもいいよ」
 こう言うのだった。
「じゃあ明日ね」
「うん、明日ね。それでね」
「それで?」
「こんなこと言ったら駄目かな」
 少し戸惑ってからだ。希望はだ。
 一呼吸置いてからだ。こうも言ったのだった。
「ええと。もっとね」
「もっとって?」
「門限とかそういうの気にしないで」
 そうしてだというのだ。
「千春ちゃんとずっとね」
「ずっと?」
「そう。ずっといたいと思うけれど」
「そうね。それはね」
「千春ちゃんもなんだ」
「毎日会えるけれどそれでも」
 どうかとだ。千春はここでは俯いて言うのだった。
「御別れの時はね」
「その時はだよね」
「寂しいから。とても」
 それでだというのだ。
「だからいつも一緒にいられたら」
「そうだね。それはね」
「希望もなのね」
「うん、そうなんだ」
 こう話す希望だった。
「やっぱりお別れの時はね」
「寂しいのね」
「寂しくて。それに」
「それに?」
「辛いよ」
 この気持ちもあるというのだ。希望に。
「とてもね。だからなんだ」
「千春と一緒に」
「いたいんだ。ずっとね」
「そうなれたらいいね」
「ううん。なれたらいいんじゃなくて」
 ここでは希望からだ。こう言ったのだった。
「なろう」
「なるの?」
「うん、なろう」
 微笑んでだ。こう答えた希望だった。
「絶対にね」
「そうね。なれたらいいんじゃなくて」
「千春ちゃんがいつも言ってる通りね」
「なるものよね」
「自分からね。そうだよね」
「うん。千春ちょっと忘れてた」
 少しほろ苦い顔になってほんの少しだけ俯いて言う千春だった。
「なるものだよね。何でも」
「僕。なるよ」
 顔をあげてきた千春のその顔を見ながらだ。希望は微笑んで答える。
「絶対にね」
「千春と一緒にいられるように」
「いつもね。そういう風になるから」
「わかったわ。じゃあ千春もね」
「そうなる為にだね」
「頑張る」
 いつもの微笑みに戻ってだ。答える千春だった。その顔もあげて。 
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