戦国異伝供書
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第百二十八話 僧籍の婚姻その十四
「邪魔をする様な」
「何者かがですか」
「その様に動いていて」
「そして織田家を害している」
「そうなのですか」
「そうも思った、だから我等はな」
本願寺はというのだ。
「出来るだけじゃ」
「動かぬ」
「迂闊には」
「そうすべきですな」
「もう一向一揆はほぼ抑えられた」
織田家によってだ。
「闇の旗の者達のそれはな」
「伊勢、近江、越前、加賀と」
「三河や土佐のそれも」
「紀伊も織田家に入りました」
「もう我等の武はこの石山にしかありませぬ」
「織田殿がよいとされるなら」
それならというのだ。
「もうな」
「降り」
「そしてですか」
「織田家に入る」
「そうされますか」
「戦の世が終わり泰平が続くなら」
それならというのだ。
「もうな」
「それならですな」
「もう武は必要ないですな」
「それは」
「我等は最初は武は持っておらなかった」
本願寺はというのだ。
「だからな」
「それで、ですな」
「もう武は捨てる」
「天下が泰平になれば」
「そうしますな」
「一向一揆はせずこの石山もじゃ」
堅固な城そのものと言っていいこの寺もというのだ。
「明け渡すか」
「明け渡すのですか」
「この本願寺を」
「そうされますか」
「どうしてもというのならな、武がいらぬなら」
それならというのだ。
「もうこの様な堅固な寺もいらぬな」
「だからですか」
「他の場に総本山をもうける」
「そうしますか」
「うむ、そうもな」
顕如は驚く周りにさらに話した。
「考えておる」
「そこまでですか」
「そこまでお考えですか」
「この石山を出る」
「そのことまで」
「別の場に総本山を置けばな」
それでというのだ。
「信心は出来るな」
「はい、それは」
「他の場所でもです」
「それは出来ます」
「確かに」
「だからな」
それでというのだ。
「この石山から出ることもな」
「お考えですか」
「そこまでとは」
「それにこの石山、大坂は地の利がかなりよい」
顕如はこのことも指摘した。
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