足が折れている母犬
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第一章
足が折れている母犬
イアンネ=パウエル心理学者で黒髪をパーマにしている学者らしく知的な雰囲気で黒い目もそうした光を放つ彼女は同じメーン州で獣医をしている友人のエレン=ソブリー赤がかった金髪を短くしていて濃い青の目を持っている背の高い彼女の家に来て話した。
「気になる野良犬を見付けたの」
「それでその野良犬を保護したいのね」
「ええ、けれど」
それでもとだ、イアンネはエレンに眉を曇らせて話した。
「その子だけじゃないかも知れないの」
「っていうと?」
「その子足が折れているけれど」
それでもというのだ。
「私を見ても助けを求めないで」
「骨折してるのに」
「そう、何か必死にある場所に帰っていくのよ」
「それは」
エレンは獣医だ、その為動物勿論犬のことも知っている。それでだ。
はっとなってだ、イアンネに話した。
「若しかしてその子母犬で」
「貴女もそう思う?」
「ええ、それで子犬を守る為にね」
「いつも子犬達のところに戻って」
そうしてというのだ。
「育ててるってね」
「貴女は思っていたのね」
「何となくだけれど」
「私は確信したわ」
エレンはそうだった。
「だから獣医でしょ」
「それでよね」
「わかるわ、じゃあその子紹介してくれるかしら」
「今すぐでもいいかしら」
「お願いするわ」
エレンはこう言ってだった、イアンネにその犬のことを教えてもらった、犬は今二人がいるエレンの家のすぐ近くに出るとのことで。
白い毛のグレーハウンドで雌であった、そして左の後ろ足を骨折していて歩くのに辛そうだ。そこまで聞いて。
エレンは紐を持ってイアンネと一緒に犬が出るところまで行った、するとそこに丁度白の歩き方が悪いグレーハウンドがいた。
そのグレーハウンドを見てだった、イアンネはエレンに言った。
「あの子よ」
「そうよね」
「それで紐は」
「ええ、あの子のところに行って」
エレンは言いつつ犬に近付いてだった。
そうして犬の首に紐をかけてイアンネに話した。
「こうしてついていきましょう」
「その子に」
「犬ならこの紐はリードよ」
「そうなの」
「いい?私達は貴女を助けたいから」
エレンは大人しく人馴れしているのか全く吠えず抵抗もしない犬にも言った。
「これから貴女のお家に案内してくれるかしら」
「クゥン」
犬は頷く様に鳴いた、エレンはそれを見てまた言った。
「人間の言葉もわかるみたいね」
「随分賢い子ね」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「この子に案内してもらって」
「そうしてなのね」
「この子のお家に行きましょう」
「わかったわ」
イアンネはエレンの言葉に頷いてだった。
二人で犬についていった、犬は二人を信頼したのか彼女達を拒むことなく先に先にと進んでいって。
やがて空き地の真ん中にある廃車のところに行った、それは随分大きな廃車でありエレンはそれを見て言った。
「これだけの大きさならグレーハウンドでもね」
「お家に出来るわね」
「ええ、大きな種類だけれど」
そうした犬だがというのだ。
「これだけの車ならね」
「中に入って」
「それでお家にもなるわ」
「そうよね」
「それじゃあ」
エレンはあらためて言った。
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