魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第二百五十八話
駿河が我が姉上を見つけた。
「ふおぉぉぉぉぉぉぉ⁉ 金髪幼女! 金髪幼女が居る!」
「落ち着け馬鹿」
我が姉上に抱き着こうとした馬鹿の後ろ襟を飛ばした義手で引っ張る。
「昨日ぶりだね。我が姉上」
「ふんっ。ユートピアか」
とそこで駿河の声を聞きつけた暦さんが来たので我が姉上が寝ている横のブランコに腰掛ける。
足を振るとぎぃぎぃと音をたてて動き出す。
この後は猿蟹合体が来るんだけど…。
どうしよう?
猿も蟹も暦さん関係ないんだよな。
つまり暦さんにはその知識が無い。
駿河の腕の話は触りだけ知っていても体験はしていない。
正史どおり猿蟹合体が来るのかそれとも別の怪異が来るのか。
その答え合わせは随分早かった。
「猿か、随分てこずらせてくれたのぅ」
駿河の腕に目を向けて言った我が姉上の言葉から察するにどうやら猿は確定のようだ。
「あぁ。お前と別れてから、えーっとあの”くらやみ”の件だけど…」
と暦さんがくらやみについて話そうとしたが、我が姉上はそれを止めた。
「否。その辺りはもう軽く聞いた。
儂も色々四百年以上勘違いをしておったようじゃの」
「聞いたって誰から?」
「お前様を踏みつけた童女に聞いたのじゃ」
あのあと俺達に集合場所を教えたコタンジェントは我が姉上の救援に向かっていたらしい。
くらやみについてもきちんと説明して、我が姉上はある程度納得したのだろう
「僕を踏みつけた童女??はて、僕を裸足で踏んだことがあるのは忍、お前だけだよ」
「儂は裸足でとは言うておらん。
それに顔面に可愛らしい足跡がくっきり残っとるぞ」
暦さんが顔を手で覆い、こちらに視線を向ける。
「知ってたけど」
「ご主人様が触れないから私も触れないでおこうかと」
「言えよ⁉」
「言ったら消せって言うじゃん。それ、コタンジェントが暦さんの位置を知るための紋だから外さない方がいいよ」
俺と箒が互いに刻んでいる紋と似たような作用だ。
そこで一旦会話を切り上げる。
探知範囲に敵が入ってきたからだ。
それは猿蟹合体ではあった。
しかし正史のそれとは尾が違う。
金色の、毛で覆われた、狐の尾。
「まーずいなぁ」
あの怪異箒の情報も取り込んでやがる。
魔法やサイキックを使うのかもしれない。
暦さんと駿河はどちらも近接特化ビルド。
距離を取られると何も出来なくなる。
「我が姉上」
と暦さんと話していた我が姉上を呼ぶ。
「ん。わかっておるユートピア。お前様、その話はあとでしよう。儂らの戦いはこれからのようじゃの」
我が姉上が指をそっと持ち上げる。
「来たぞお前様」
目視範囲内、指の先には猿蟹+α合体。
「駿河!」
影から引っ張り出した手甲を駿河に投げる。
それをはめた駿河がクラウチングスタートの構えを取った。
「ふむ。では儂も手助けするかのう」
我が姉上が口から心渡を取り出し、地面に突き刺した。
「使え。あれは怪異ではない。怪異以前の良くないものが寄り集まった何かじゃ」
隣に突き刺さった心渡のなかごに触れ、柄の拵を量子展開。
「存分に戦え、我が甥よ」
暦さんが心渡を握り、地面から引き抜いた。
織斑流剣術の構えを取る。
「阿良々木先輩!いくぞ!」
「は、はいっ!」
飛び出し、即座にトップスピードに乗った駿河が腕を弓矢のように引絞った。
暦さんはその後を追う形だ。
駿河が飛び上がり、位置エネルギーを加算する。
駿河のスピードと体重が乗った一撃が敵を打つ。
その鋏は手甲を纏った一撃を辛うじて受けきった。
しかし強度が足りなかったらしく、鋏が粉々に砕け散った。
空中にいる無防備な駿河を、猿の腕が襲う。
「それっ」
駿河を魔法で動かし、猿の腕を避けさせる。
そして二の矢。
駿河が避けて空いたアタックスペース。
暦さんが心渡を振り下ろす。
が、しかし。
敵は瞬間移動のように後ろに下がり、大太刀の一撃を避けきった。
「疑似瞬間移動。やはり現代魔法を使ってくるか」
さらには砕けた鋏を掲げると、一瞬で元の形を取り戻す。
再生まで使うらしい。
「我が姉上」
「大丈夫じゃろ。あれくらい」
次の瞬間暦さんが足に気を集中させたかと思うと、大きく踏み込む。
縮地だ。
一瞬で距離を詰めた暦さんが横薙に刀を振る。
上下に真っ二つ。
直ぐ様返す刀で逆袈裟、袈裟の3連撃。
そこまで脳のない猿蟹合体はあっさりと倒された。
「甘いな」
「そうじゃな」
狐の尾に隠された蛇。
それが暦さんと駿河に襲い掛かる。
我が姉上が飛び出し、二人の前へ。
襲い来る蛇を両手で掴み取る。
「62点」
うん。最後油断したからね。大幅減点は仕方ない。
赤点じゃないだけましだと思ってほしい。
とりあえず服が破けた駿河に面倒だから機能縮小版のムーバルスーツを渡しておく。
で、だ。
今は暦さんがブランコの下に横たわっている。
既に臥煙からのメッセージは見たようだが。
「暦さん。何してんの? いつまで我が姉上の絆創膏見てんの?」
「ちげーよ⁉ 抜け出すタイミング見計らってるんだよ⁉」
「魔法で押し出そうか?」
「碌なことになりそうにないから止めとく!」
そう言うと暦さんは肩やら腰やらを駆使して芋虫みたいにもぞもぞとブランコの下から抜け出した。
「ふぅ」
と抜け出した暦さんが一息ついた。
「うっふぅ?」
「達してないから」
そのあと、公園を後にして目的の北白蛇神社へと向かう。
ここから北白蛇神社まではそれなりの距離がある。
「斥候しようか?」
「いや、できれば近くにいて欲しい」
俺の申し出に対して暦さんは視線で駿河を指して拒否した。
駿河を守れという事らしい。
「それに、君が居れば安全そうだから」
「その期待には添いかねるよ暦さん。俺が持ってる情報は限られた物でしかない」
それだけ言って、上昇して周囲を監視する。
索敵範囲内に死屍累生死郎とそれに与する怪異はいないようだ。
奴も消耗しているのだろうか。
俺が持っている情報はあくまで作品の読者が得うる物だけだ。
行間の出来事は知りえないし、今奴がどうしているかは憶測しかできない。
一行の上を俯瞰視点で見ながら北白蛇神社へ。
時折我が姉上が恨みがましげな視線を向けてくるが無視だ。
俺は関係ない。
一行が境内への鳥居をくぐると同時に合流する。
「やぁ、こよみん、ユートピア、やっと合流出来てうれしいよ」
と臥煙がわざとらしく振り返る。
「忍野忍さん、神原駿河さん。私は忍野伊豆湖という」
さぁ、来るぞ。
「神原さんは..........知らないか。でも忍野忍さん、わたしは君が良く知る忍野メメの妹だ」
「ひゃはははははははははは!!」
「オイ」
「ははははははははははは! ひゃっはっはっはっはっはっはっはっは⁉」
「おいユートピア」
「いwwwもwwうwwwとwwwwwww」
「草を生やすな。ユートピア」
爆笑していると目の前に何かが飛んできて俺の顔面にめり込んだ。
すごく痛い。
しかも後ろに倒れて後頭部を石畳で強打した。
更に痛い。
めり込んだ物体を手に取る。
球状の水晶だ。
よくこんなもん持ってたなこいつ。
と思ったがよく見ると穴が開いている。
数珠の一つだろうか。
水晶にこびり付いていた血が蒸発する。
「イイッタイメガアァァァァァァ⁉」
「いや鼻だろう。一々ネタを挟まないと喋れないのかユートピア」
これ以上は話が進まないので大人しくする。
そうして、臥煙の永い長い独り語りが始まっった。
後書き
2021/07/29 臥煙を臥煙のまま書いていたので修正しました。指摘してくださった読者の方、ありがとうございます。
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