おっちょこちょいのかよちゃん
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132 上層部からの処遇
前書き
《前回》
りえはかよ子達と異世界での共闘を誓い、東京に帰るが、大野と喧嘩した杉山が気になってしまう。そしてかよ子や三河口も杉山に異世界で共に戦ってほしいと願うのだった!!
森の石松は三穂津姫からある手紙を受け取っていた。
「フローレンスからの手紙です」
「ああ、ありがとう」
石松は以前、大野と杉山がそれぞれの石を喧嘩に使用した事に激怒して没収を警告した。大野は使用しないと約束した一方、杉山は石を放棄し、かよ子によって大野に持たせていた。それについてフローレンスとイマヌエルの判断を求めていたのだった。
森の石松
手紙を読ませていただきました。貴方と山田かよ子ちゃんの判断は間違っていませんと思います。ですが、杉山さとし君にはそれでも予定通りこちらの世界に来て頂きますように伝えておいてください。大野けんいち君には草の石と雷の石、両方とも持って来ますようにお伝えしますよう、お願い致します。
フローレンス
(そういう判断であったか・・・。まあよい、某から二人にも伝えておこう・・・)
かよ子は異世界に行く日が近づいているといるのに杉山と大野がそれぞれ避け合っている事態をどうしても解決する事ができなかった。以前、休日を利用して東京から異世界の杯の所有者である安藤りえを杉山と再会させても何もならず、むしろ杉山はかよ子をも避けるようになってきた感があった。
(杉山君、それでいいのかな・・・?)
かよ子は思い切って杉山に話しかけて見た。
「す、杉山君・・・」
「何だよ?」
杉山はぶっきらぼうに応答した。
「ごめんね、この前は、急にりえちゃんを連れて来て・・・」
「いいよ、あんな生意気な事言われて怒っただけだからよお・・・」
「でも、杉山君は一緒に戦ってくれるよね?」
この問いは以前から何度もかよ子はしていた。しかし、杉山は・・・。
「さあな・・・」
と、肯定も否定もしない有様だった。
「私は、来てくれるって、信じてるよ・・・」
かよ子はそう言って杉山から離れた。
「山田、やっぱり杉山君、機嫌悪いかブー?」
ブー太郎が聞いてきた。双方の子分として彼も心配なのであろう。
「うん、それに異世界に一緒に行ってくれるか心配になって来たよ・・・」
杉山は一人で下校していた。その時、杉山の前に一人の男が現れた。森の石松だった。
「杉山さとし・・・」
「何だ、石松か」
「お主に伝えておく事がある。今、お主は石を放棄した状態ではあるが、予定通り異世界の戦いには参加していただきたい」
「道具が何もない俺に何ができるんだよ?行ったってしょうがねえだろ?」
「愚か者!命令は命令なのだ!断るつもりか!?」
「うるせえよ!」
杉山はその場から走り去った。
「待て!杉山さとし!!」
しかし、杉山は止まらない。しかし、石松は止めようとせず、次の行動に移行した。
大野は下校中、石松と遭遇した。
「大野けんいち」
「石松じゃねえか、何だよ?」
「この前の喧嘩についてなのだが、お主、いつの日か秘密基地なる物を建造した際にフローレンスにイマヌエルという者どもに会った事を覚えておるか?」
「フローレンスにイマヌエル?ああ、あの時の事か・・・」
「その事についてその二人と相談してきた。お主には草の石と雷の石二つを持って異世界に来て貰いたいとの事だ」
「え?ああ、分かったよ。何を考えてんだ、一体?」
「某には解らぬ。だが、向こうにも何か考えがあるのだろうな」
「ああ、とりあえず言う通りにするよ」
「では、待っておるぞ。必ずお主が学び舎を変える前にこの戦を終わらせようぞ!」
石松は飛び去った。しかし、石松には杉山の方が気がかりであった。
(あの者はどうすればよいのだろうか・・・?)
かよ子は下校中、三河口と遭遇した。
「あ、隣のお兄ちゃん・・・!!」
「かよちゃん・・・」
「まだ、杉山君は機嫌悪そうかい?」
「うん、よく解ったね。これも見聞の能力?」
「いいや、たまたまだよ。俺は杉山君とかかよちゃんとかに対しては能力は使えなからね」
「ああ、そうだったよね」
かよ子は以前、三河口が少年院を出て清水に訪れてから赤軍や異世界の人間以外に対してしか異能の能力が発動されなくなった事を思い出した。
「杉山君、異世界に行くのか聞いても『さあな』って返すだけで、行くのか行かないのかはっきりしないんだ・・・」
「そうか・・・。大野君と喧嘩した事を今でも引きずっているのか。それで、『あいつとは一緒に行きたくない』って気持ちがあるのかもしれんな」
その時、石松が現れた。
「山田かよ子、三河口健」
「石松・・・」
「フローレンスとイマヌエルからの命令で、大野けんいちには草の石と雷の石両方を持って来るように言ってきた。一方で杉山さとしの方なのだが、異世界に来て貰いたいとは伝えたのだが、奴は許可も拒否もせずにその場を離れてしまったのだ」
「・・・それで、俺達に何かして欲しいという事か?」
「ああ、そうなのだが・・・」
「でも、私でも無理だったんだ。今日聞いても『さあな』って答えてくれなかったし・・・」
「それに前に東京に住む杯の所有者に説得させようとかよちゃんは試みたのだが、それでも上手く行かなかったとの事だ」
「杯の所有者が?誠か?」
「ああ、だが、結局喧嘩しただけで糠に釘に終わったそうだ。だよね、かよちゃん?」
「うん・・・」
「そうか、当日まで待たねばならぬのか・・・」
石松は苦労した。
「いや、俺が説得させてこようか?」
三河口が名乗り上げた。
「よいのか?」
「ああ、俺は武器もないし、異能の能力も杉山君に対しては使えん。杖の所有者や杯の所有者の説得でダメでも、武器でやり合うのでもダメだから素手の俺が行くしかないだろうな」
「そうか、済まぬ。三河口健、お主に頼もう」
「いいともさ」
「それでは、失礼致す」
石松は去った。
「お兄ちゃん、大丈夫なの・・・?」
「ああ、それっきゃ手がないだろ。だから石松は俺達の所に来たんじゃないのか?」
「う、うん、そうだよね・・・」
「もう時間はないからね。俺が何とかしてあげるよ」
かよ子は三河口が落ち着いた態度で言っていたのを見て相当自信があるのだろうかと感じた。
(お兄ちゃん・・・、大丈夫かな・・・?)
かよ子は大丈夫であって欲しいと信じた。
後書き
次回は・・・
「杉山を説得させる者」
かよ子や長山、ブー太郎、冬田達は異世界への戦いに行く為に学校でクラスメイト達と一時的な別れを惜しむ。そして三河口は下校後、杉山に会いに行き、ある所へと連れて行く・・・!!
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