ドリトル先生と不思議な蛸
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第四幕その一
第四幕 赤い蛸だけが
浅瀬を調べてお昼に鰯を食べた次の日はです、先生は少し海に出てダイバーの人に海底を調べてもらいました。
そしてダイバーの人が船に上がった時に尋ねました。
「どんな蛸がいました?」
「マダコとかばかりですね」
ダイバーの人は先生にゴーグルとシュノーケルを外してから答えました。
「赤くない蛸はです」
「いないですか」
「はい」
そうだというのです。
「色々な生きものがいますが」
「それでもですね」
「はい」
そうだというのです。
「これといってです」
「赤くない蛸は、ですね」
「いませんでした、ただ」
「ただといいますと」
「とても美味しいお魚がいました」
ダイバーの人は先生に笑顔でお話しました。
「もうこれはです」
「食べないとですか」
「勿体ない位ですよ」
「そのお魚は何ですか?」
「オコゼです」
ダイバーさんは先生に笑顔で答えました。
「オニオコゼです」
「あのオコゼですか」
「かなり大きいですよ」
「ではそのオコゼを」
「皆で食べませんか」
こう先生に提案しました。
「これから」
「はい、ただオコゼは」
「鰭に毒がありますね」
「大丈夫ですか?それに捌き方も」
「そちらは任せて下さい」
ダイバーさんは先生に笑顔で答えました、四十五歳位の屈託のない笑顔の少し小柄は男の人で体格は引き締まっています。
「そうしたこともです」
「出来ますか」
「はい、漁師ですから」
「だからですか」
「そちらは任せて下さい」
「それでは」
「今から捕まえてきます」
そのオニオコゼをというのです、そしてです。
ダイバーさんはオニオコゼを捕まえて早速捌いてです。
お刺身そしてお吸いものにしました、他には蛸や烏賊のお刺身や姿焼きもあります。そうしたものをです。
先生は皆と一緒に食べはじめました、動物の皆はオニオコゼのお刺身を食べると皆驚いて言いました。
「美味しいね」
「そうよね」
「オニオコゼって」
「捕まえたの見たら物凄く怖いのに」
「岩みたいでね」
「それで毒もあるっていうのに」
「物凄く美味しいわ」
こう言うのでした。
「こんなに美味しいなんて」
「お刺身も美味しくて」
「お吸いものも素敵な味で」
「こんなに美味しいんだ」
「あんな怖そうなのに」
「うん、確かに美味しいね」
先生もオニオコゼのお刺身を食べつつ言います。
「オニオコゼは。お話には聞いていたけれど」
「そうだよね」
「こんなに美味しいなんて」
「河豚や鮟鱇も美味しいけれど」
「オニオコゼもなんだ」
「そうだね、ただね」
先生は皆にお話しました。
「毒があることはお話したね」
「うん、さっきね」
「鰭に毒があるんだよね」
「だから危ないって」
「そう言っていたね」
「それは強い毒でね、鰭に毒針みたいなのが沢山あって」
それでというのです。
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