リュカ伝の外伝
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天使とラブソングを……?「おまけ」(第13.5幕)
前書き
多分、皆さん気になってると思うんだ。
(グランバニア城)
ピエッサSIDE
私はまだ余韻に浸っている。
サンタロースという村の教会を建て直す為の楽曲『Hail Holy Queen』は素敵だった。
最初は厳かな聖歌として始まりつつ、途中から曲調がポップになり人々の心を鷲掴みにする。
そんな名曲に心を奪われてる状態だが、私には向かわなければならない場所がある。
先程サンタローズへ出立する直前の陛下に言われ思い出したのだ。
昨晩のデート代として発行した領収書の精算だ。
陛下に『そう言えば領収書は貰った?』と聞かれ、ハッと思い出し慌てて数枚の領収書を鞄から取り出しお目にかけた。
よく考えたら陛下にお見せする必要は無かったのかもしれないが、慌ててた為差し出してしまった。
そして『うわぁ~……随分と飲み食いしたねぇ。こっちなんかは高級ホテルの領収書じゃん。領収書貰ってこいとは言ったけど、際限なく贅沢して良いとは言って無いんだけどね(笑)』と言われてしまった。
なので『や、やはり拙かったですよね……』と落ち込んでしまったのだが、陛下は『いや、僕の予想を超えるはっちゃけっぷりに驚いただけで、税金じゃないから幾らでも贅沢して構わないよ』と満面の笑顔でGOサインを頂けた。
そして最後に『もしアイツがグズったら今だけ使える魔法の言葉がある。それを使うと良いよ』と隠し技まで伝授して貰った。
言葉の意味は解らないけど、払ってくれ無さそうになったら使おう。
なので今から私のスポンサー殿に領収書の精算をしてもらいに行く。
ピエッサSIDE END
(グランバニア城・宰相執務室)
ユニSIDE
(コンコン)「失礼します」
珍しい事もあるもんだ。
普段ならこちらから呼び出さない限り、政務に関わる場所へは訪れないピエッサさんが、自ら宰相閣下の目の前までやって来た。
「如何した……何かマリーがやらかしたか?」
悲しい事に避けてる彼女からやって来ると、マリーちゃんが何かやらかしたと推測してしまう……日頃の行いって大切なのよ。
「いえマリーちゃんは相変わらずですが、今日は別件で来ました。この領収書の精算をお願い致します」
そう言って手に持ってた数枚の紙を差し出した。
あれは領収書だったのね。
「何だコレは? 領収書ぉ? しかもデート代だぁ!?」
え……個人のデート代なのに領収書まで貰って、しかも精算するって如何言うつもり!?
あの常識的なピエッサさんとは思えないけど……
「お前ふざけてんの? 税金何だと思ってんの!? お前等が乳繰り合う為に国民から徴収してるんじゃねーぞ!」
「何か勘違いされておりますが、私は公務員ではございません。スポンサーであるウルフ・アレフガルド氏に個人的に雇われた民間人です」
なるほど。……背後にリュカ様の影がチラチラ(笑)
「くっ……あのオッサンに悪知恵を付けられやがって!」
「あのオッサンが、どのオッサンを指してるのかは解りませんが、昨晩陛下から命令を受けました『デート代をスポンサーに請求する様に』と」
「あ゛ぁ? あのオッサン共々舐めた事言いやがって!」
そう言うと差し出された領収書を奪い取り目を通す。
本当に払うのかな?
「高級レストラン“マーレ・パラシオ”で1250Gだぁ? どんだけ食ってんだ!」
「ボトルで頼んだワインが……高かったのかしら?」
値段を見ないで頼んでる(笑)
「次は……これまた高級なナイトバー“ヘブン・ナイト”で……840G!? レストランで高いワイン飲んでんだろが! 何でまたこんなに飲んでんだよ!」
「美味しいお酒ってスルスルと入るんですよ」
以外に酒豪。
「最後にこれは……ホテル代か? 二人とも地元に住んでるのに、わざわざホテル使ったのか!? しかもここ超高級ホテル“王国ホテル”じゃねーか! え? スイート宿泊費2100G! 家帰って交尾しろや!」
「お酒が回って上手く歩けなかったモノで……帰れませんでした」
いやいや……
マーレ・パラシオとヘブン・ナイトは共に港地区で近いから解るけど、王国ホテルはグランバニア城に近いから、レクルト閣下の家に行くのと大差ないわよ(大笑)
「合計4190Gだと! 払う訳ねーだろ馬鹿!」
「……してやられた罰金」
おおっとぉ~……リュカ様は必殺技も与えていたわ!
力なく椅子にもたれ天井を仰ぐ閣下。
ざまぁ……じゃなくて、ご愁傷様です(クスクス)
ホント……日頃の行いって大切だわぁ。
「おら、持ってけ!」
がっくりしつつも懐から財布を取り出し100G札の束を叩き付ける。
何だかんだ持ってるから凄い。
「あの……お釣り無いのでピッタリ欲しいのですが?」
「うるせー、釣りなんか要らねー! それ持って帰れ! 仕事しろ馬鹿!」
罵声を浴びせられながらも、表情一つ動かさずお金を受け取って退出するピエッサさん。
「おい、レクルトを呼べ! 今すぐ!!」
彼女が出て行ったのを見計らうと、部下の一人にレクルト閣下を呼ぶ様に命令する。
彼女には出来なかったから彼氏の方に八つ当たりするのかしら?
・
・
・
「呼んだ?」
20分後、レクルト閣下がやって来た。
臆する事なく堂々と。
レクルト閣下の執務室も近くにあり、この部屋から使いを出して呼び出しても5分とかからず来れるはずだ。
一体何をしてたのだろうか……余計に怒らせるだけなのに。
「あの僕、今日体調悪いんだよね……公務以外の呼び出しだったら困るんだけど」
「何だ……風邪でも引いたか」
遅れた原因は風邪?
「昨日食べ過ぎちゃって、お腹の調子が……」
「俺の金だ馬鹿野郎!!!!」(ぼかっ!)
あまりにも笑える体調不良の原因に、立ち上がったウルフ閣下はレクルト閣下の顔面を殴った。
「ぐわぁ!」
「痛~い。何か理不尽にぶたれたんですけどぉ~」
だが殴ったウルフ閣下の方が右手を押さえ痛がり、殴られたレクルト閣下は然程ダメージを負ってない。
「てめぇ……ここに来る前に、リュリュさんの所へ寄ったな!」
「何のことか解りませんが?」
なるほど。殴られる事は解ってたので、リュリュ様の下へ行きスカラをかけて貰ったのね!
「ホイミ……まぁいい。ところで質問なのだが……」
相当力一杯殴ったのか、ホイミで回復するウルフ閣下。
だが違う話をするみたいだ?
「リアルに想像して答えろ。俺はリュリュさんが好きだ」
「超絶一方通行の片思い」
永遠に実らない恋。
「うるせー。……で、俺は意を決して彼女にプロポーズする」
「秒でフラれる」
辛辣な台詞付き。
「俺はフラれガッツリ落ち込むんだが、それを見てたお前は俺に何て声をかける?」
「……う~ん、想像はしたけど言葉だけじゃ伝わらないのでジェスチャーを交えて答えるね」
そう言うとレクルト閣下は右手をウルフ閣下の右肩に置き、物凄く見下した表情で……
「ウルフ君、格好いい(プフゥークスクス)」
「一言一句同じかこの野郎!」(ドゴッ!)
そう言って机の上の書類の束に置いてあった大きめのペーパーウェイトを掴み、レクルト閣下の後頭部へと振り下ろす。
「痛~!! 流石にそれは反則だよ!」
「うるせー馬鹿野郎! 何奴も此奴も俺を馬鹿にしやがって! 帰れ! そして仕事しろ!!」
質問されて、それに答えたら殴られる……理不尽な職場だ。
見た目被害者のレクルト閣下を下がらせ、仕事に戻る宰相閣下。
今回の件はかなりご立腹の様で、ブツブツ文句を言いながら仕事をしている。
触らぬ神に祟りなしだ……
今日はソッとしておいてあげよう。
ユニSIDE END
後書き
こんな事を書くから
ウルポンが夢に出てきて文句言うんだよね。
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