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律儀に

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第七章

「そうしたことはおいおいな」
「何時何処でかはないか」
「ああ、成り行きでやっていこうな」
「律儀でなくてもいいか」
「そりゃ律儀で進める場合もあるだろ」
 こうしたことでというのだ。
「やっぱりな、けれどな」
「それでもか」
「今の俺達は普通に付き合っていてな」
 そうした間柄でというのだ。
「別に許嫁とかな」
「そうした決まったものでないからか」
「だからか」
「ああ、ある程度は普通でもな」
「いいか」
「そうだろ、じゃあまたな」
 八幡は沙織に笑顔で話した。
「明日学校でな」
「ではな」
「これでな」
 こう言って笑ってだった、彼は沙織と別れ自分の家に帰った。そして次の日沙織にこうしたことを言われた。
「成り行きでもいいか」
「昨日の家の前の話か」
「ああ、別にか」
「そうだ、それもいいか」
「何でもしっかり、そして律儀でなくてもな」
 それでもというのだ。
「いいだろ」
「そうした考えもあるな」
「ああ、じゃあ今日の放課後図書室行くか」
 学校のというのだ。
「そうするか」
「生物のレポートだな」
「それ書かないといけないだろ」
「うむ、ではな」
「今日はな」
「そこに行こう」 
 二人でこうした話をしてだった。
 実際に図書館に入ってそこで論文を書いた、沙織のレポートはやはりしっかりしていて律儀な文章と構成だった。だがほんの少しだけそうでないところもあった。八幡は彼女のそれを見てそのことがわかって心の中で微笑んだ。


律儀に   完


                  2020・8・21 
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