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戦国異伝供書

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第百二十六話 推挙その四

「岩屋城まで達し」
「あの城を攻め落とす」
「そしてお三方を降す」
「その二つですか」
「岩屋城を攻め落とせばそこで大友殿に迫るが」
 九州探題の職を譲れとだ。
「しかしな」
「それで頷かれぬなら」
「さらに攻めて」
「そうしてですか」
「お三方を完全に降すまで」
 大友家を支える三人の名将達全てをというのだ。
「よいな」
「はい、それではです」
「すぐに筑後を手に入れ」
「そしてそのうえで」
「大友家の領土に入りましょう」
「そして攻めていきましょう」
「その様にな」
 こう言ってだった。
 義久は九州探題になることを宣言しまずは筑後の国人達に声をかけて島津家につく様に言った。そうしてだった。
 従わない国人達は攻めて降し大友家や龍造寺家の国人達にも誘いをかけて次々と勢力を拡大していった、そして龍造寺家を肥前の北に追い詰め。
 大友家を筑前と豊前のみとした、そこで義久は家臣達にあらためて話した。
「これでじゃ」
「はい、これよりですな」
「岩屋城ですな」
「あの城を攻めまするな」
「そうする、敵の城主は高橋殿でな」
 大友家を支える三人の名将の一人である彼であるがというのだ。
「そして立花殿達も気になるが」
「それでもですな」
「攻めますな」
「そうしますな」
「左様」
 まさにというのだ。
「あの城をな、そして軍勢であるが」
「どれだけ出しますか」
「我等は今五万は出せますが」
「出陣させられるなら」
「それだけ出せますが」
「その五万をじゃ」
 まさにというのだ。
「全て岩屋城に向けるぞ」
「五万全てをですか」
「出陣させ」
「岩屋城に向けますか」
「そうしますか」
「そうする、主な者は皆出陣してな」
 そうしてというのだ。
「あの城を攻めるぞ」
「殿もですか」
「そうされますか」
「五万の兵を全て出されたうえで」
「そうしてですか」
「無論お主達もじゃ」
 今度は弟達に告げた。
「出陣してもらうぞ」
「はい、それでは」
「岩屋城にですな」
「五万の兵で出陣しますな」
「そしてあの城を攻め落とし」
 そうしてというのだ。
「そのうえでじゃ」
「さらにですな」
「大友家の城を攻めていき」
「かつ立花殿達も破り」
「大友殿に迫る、若し譲らずともな」
 九州探題の職、それをというのだ。 
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