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戦国異伝供書

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第百二十六話 推挙その三

「それでよいな」
「はい、それでは」
「明日お話して下さい」
「その時に」
「そしてその断はな」 
 それはというと。
「決して変えぬ」
「決められたのならですな」
「もうそれでいかれ」
「止めぬと」
「そうする、では明日の朝じゃ」 
 その時にというのだ。
「飯の前にお主達に言おう」
「わかり申した」
「それではです」
「その時に」
 弟達も応えてそうしてだった。
 歳久は一晩一人茶室に入って思索に入り弟達は朝を待った。そして彼は朝になると日の出と共に弟達を己の部屋に呼んで一言言った。
「なるぞ」
「はっ、それでは」
「その様にしていきましょう」
「これより」
 弟達も頷いてだった。
 島津家は九州探題の職に就くことを宣言してだった、大いに兵を動かすことにした。もう龍造寺家は己の領地を守るので手が一杯で。
 大友家も同じだった、それを見てだった。
 義久は家臣達に告げた。
「筑後の国人達も雪崩を打ってこちらに入っておる」
「ではですな」
「それではですな」
「筑後を手に入れて」
「そうしてですな」
「そのうえでじゃ」
 さらにというのだ。
「よいな」
「はい、大友家ですな」
「九州探題であるあの家を攻め」
「屈服させ」
「九州探題の職を譲ってもらいますな」
「そうしてもらう」 
 是非にというのだ。
「これよりな」
「ではですな」
「筑後を手に入れ」
「そしてそこからですな」
「大友家ををですな」
「さらに攻める、問題はじゃ」
 義久はさらに言った。
「大友家の三将じゃ」
「立花道雪殿に」
 まずはこの者の名が挙げられた。
「高橋紹運殿」
「そして二人のご子息殿」
「合わせてお三方」
「この方々ですな」
「どの御仁も鬼神の如く強い」
 義久はこのことを言った。
「だからな」
「それで、ですな」
「この方々を破る」
「そうせねばなりませぬな」
「岩屋城を攻め落とせばかなり違うが」
 大友家のこの城をというのだ。
「しかしな」
「それにはですな」
「お三方のどなたかが出られる」
「それ故に」
「ここは、ですな」
「まずはじゃ」
 島津家が九州探題になる、その為にはというのだ。 
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