戦国異伝供書
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第百二十五話 誘い出しその四
「その三つが揃ったならじゃ」
「勝てますな」
「その三つが揃えば」
「負ける道理はありませぬな」
「その通りじゃ、だから内輪で揉めることは避けるぞ」
義久は弟達にも言った、そうしてだった。
軍勢を率いて雲仙岳を左に見つつそのうえで島原の東の海岸を北に進み沖田畷に入った、するとすぐにだった。
義久は有馬にこう言った。
「有馬殿は本陣としてです」
「それで、ですか」
「森岳に入って下され」
そこにというのだ。
「そしてそこで、です」
「いざという時にはですか」
「はい、攻めて下され」
こう有馬に話した。
「その問は」
「わかりました」
有馬は義久に確かな声で答えた。
「その様に」
「丸尾山にも軍勢を置き」
義久はさらに言った。
「そして沼の前に柵をもうけ」
「そこから敵が来ぬ様にし」
「そして一本道に対して又七郎とです」
「赤星殿とですか」
有馬はその彼を見て言った、薩摩者らしく精悍な顔立ちだ。
「それに」
「はい、この二人です」
「新納殿と」
面長の男だった。
「伊集院殿ですな」
「左様です」
義久は顎髭の長い男を見つつ義久に答えた。
「その三人もです」
「戦いまするか」
「そうです」
「そして島津殿は」
「最初は丸尾山にいますが」
猿亘、眉が太い男を見つつ話した。
「しかしです」
「時が来ればですか」
「山を降り」
そしてというのだ。
「戦いまする」
「そうされますか」
「その様に、そして沼地にも伏兵を置き」
「伏兵も置きますか」
「そして一本道の入り口の南にある繁みにも」
そこにもというのだ。
「伏兵を置きます」
「そちらにもですか」
「そして海にも」
「伏兵を、ですか」
「十三の船に鉄砲隊を置いておきます」
そうするというのだ。
「そしていざとなれば」
「攻めるのですな」
「繁みの伏兵は又四郎が率い」
義久、彼がというのだ。
「船は又六郎が率います」
「そうされますか」
「その様に布陣して」
「戦うのですな」
「そうします、如何でしょうか」
「はい、まさにそうすれば」
どうかとだ、有馬は義久に答えた。
「勝てるかと」
「そうすればですな」
「そこまで伏兵を置けば、そして柵ももうければ」
それならというのだ。
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