歪んだ世界の中で
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第七話 洋館の中でその二
「朝に朝顔を見るのってね。ううん」
「ううんって?」
「何時でもね。お花や草や木、皆を見るのってね」
そのこと自体がだというのだ。
「凄くいいことだよ」
「そうなんだね」
「もっともっとね」
どうするかというのはもう決まっていた。
「見るといいよ」
「草木って見ているだけでいいんだね」
「そうだから。もっと見てね」
「うん、じゃあね」
「それにしても希望って朝顔が好きだったんだ」
「他のお花も好きだよ」
希望は目を細めさせて答える。
「ここにはないけれど向日葵もね」
「あのお花も好きなの」
「暑い時にお日様みたいに咲いてるじゃない」
「頭のずっとずっと高いところで」
「それがいいんだ。見ているだけでお日様に照らされてるみたいで」
「だから向日葵達も大好きなんだ」
「今度さ。向日葵見に行かない?」
自然とこう言う希望だった。
「今度ね」
「そうだね。じゃあ今度行く場所は」
「向日葵が一杯ある場所っていうと」
「植物園がいいよ」
そこだとだ。千春もまた目を細めさせて言う。
「あそこがね」
「そうだね。あそこなら他にも一杯お花があるし」
「草木の皆もね」
「だからいいんだね」
「うん。じゃあ今度のデートの場所は」
千春は自分から言う。
「植物園ね」
「そこにしようね」
「あそこも大好きなの」
植物園もだとだ。千春は答える。
「ここにいるみたいだから」
「お家に?」
「そう。だからなの」
「植物園も好きなんだ」
「緑があってね」
まずはそれだった。緑だった。
「赤や青、白のお花があって」
「そして向日葵の」
「黄色。オレンジかな」
向日葵の色は言い換えた。黄色というよりはオレンジだというのだ。
「その色も好きだよ」
「色ね。色っていいよね」
「色はね。草木から出るんだよ」
「草木から?」
「それにお花からね」
「そうなんだ」
「そう。自然から出るものだから」
草木、そして花も自然の一部だからこそ。それでだというのだ。
「出るものなんだ」
「色は草木から出るんだ。そしてお花からも」
「じゃあ黒や白の草木は想像できる?」
「あっ、それはちょっと」
「冬の。枯れた草とかはともかくとして」
「うん、考えられないね」
「そういうこと。色は空や海からも出るけれど」
そういったものからだけではないというのだ。それは。
「草木やお花からも出るから」
「だから色はなんだ」
「うん、そうだよ。だからね」
千春は笑顔で話していく。
「いいの。それじゃあね」
「今度は向日葵を見て」
「その色も楽しもう」
こうした話をしてだった。二人は今度のデートの場所を約束したのだった。だがこの日はこれで終わりではなくだ。希望は千春にだ。こんなことも言ったのだった。
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