| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

本領発揮

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章

「大谷さん小柄だしな」
「部活確か吹奏楽部だよな」
「運動部じゃないし」
「それじゃあ」
「これといって」
「期待出来ないんじゃ」
「吹奏楽部は運動部並みにランニングやサーキットするでしょ」
 天は部活の練習のことから話した。
「そうでしょ」
「そういえば」
「吹奏楽ってそうだったよ」
「その実は」
「そんな部活だったわ」
「その吹奏楽部でもソツなくなのよ」
 そこを言うのだった。
「だからね」
「リレーもか」
「やってくれるか」
「そうなんだな」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「どれだけ凄いか」
「そのことをか」
「見ればいいんだな」
「リレーで」
「私がこれまで言ってる通りにね」
 天の言葉は変わらなかった、そして実際にだった。
 奈央は運動会のリレーのアンカーで疾風の様に走って一位となった、ここで天はクラスメイト達に言った、皆上は白の体操服下は濃紺の膝までの半ズボンという恰好だ。
「どう?」
「凄いな」
「トップなんてな」
「先にいた娘全員抜いたしな」
「陸上部顔負けだったな」
「とんでもない速さだったわね」
「あれがね」
 まさにというのだ。
「奈央ちゃんなのよ」
「本当に凄い娘なんだな」
「勉強もスポーツも出来る」
「そんな娘か」
「けれど」
 ここでクラスメイトの一人が言った。
「そんな娘がどうして目立たないんだ?」
「そうだよな」
「普段もな」
「何か目立たなくて」
「それでな」
「地味で」
「クラスでも話さなくて」
「授業中もこれといって」
 目立たないというのだ。
「それがどうして」
「あんなに凄いんだ?」
「一体」
「普段はそうなのに」
「そのことはね」
 天はさらに話した。
「あの娘のタイプなのよ」
「タイプ?」
「対応っていうと」
「テストとかリレーのアンカーとか演奏のコンクールでないと」
 そうした時でないと、というのだ。
「出て来ないのよ」
「本領を見せない」
「そうした娘なの」
「そうだったの」
「普段から真面目に勉強して部活もしてるけど」
 それでもというのだ。
「授業や練習の時は目立たなくて」
「それでか」
「ここぞって時に出て来る」
「そうした娘だったのね」
「それを誇らないから余計に目立たないけれど」
 それでもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧