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第二章
「駄目だからな」
「それでか」
「ああ、取ってうちで食うぞ」
「食ったら後悔するぞ」
息子はこう注意した。
「本当にな」
「そんなにか」
「だから食うなよ」
「しかし畑から取らないとな」
「駄目か」
「ああ、食うぞ」
こう言ってだ、父はその西瓜を取って家族で食べた。するとその西瓜はニコライの言う通りに非常にまずく。
家族、ニコライも父も母のマリアも弟達も妹達もまずいと言った、そして。
食べるのに苦労した、だが何とか食べた。
これはニコライにとっては苦い思い出だった、だが。
近所の西瓜畑でずっと残っている西瓜を見て彼は父に家で言った。
「ずっと西瓜取ってない畑あったぞ」
「ああ、それは駄目だな」
父は息子にすぐにこう返した。
「大変なことになるぞ」
「一体何が起こるんだよ」
息子は父に問い返した。
「父ちゃん畑の西瓜は全部取れって言うけれどな」
「吸血鬼になるんだよ」
父は真顔で言った。
「だからだよ」
「吸血鬼?」
「ああ、西瓜がな」
「吸血鬼は人がなるだろ」
息子は父に返した、彼も真顔である。
「おいらも吸血鬼は否定しないけれどな」
「ここはルーマニアだからな」
「吸血鬼の国だからな」
まさにそうした国だからだというのだ。
「あちこちの国からも言われるしな」
「そうだな、もうそれこそな」
「吸血鬼って言うと我が国だからな」
「それでな」
その為にというのだ。
「おいらだってな、けれどな」
「西瓜はか」
「吸血鬼にならないだろ」
「それがなるんだよ」
父の顔も声も真剣なままだった。
「それがな」
「本当かよ」
「言い伝えではな」
「日本か何処かの漫画の話じゃないんだな」
「この辺りの話だ」
「ルーマニアでもなんだな」
「そうだ、だからな」
それでというのだ。
「その西瓜はさっさと取らないとな」
「駄目なんだな」
「まずい西瓜でもな」
ニコライがわかるそれでもというのだ。
「しっかりと取ってな」
「食わないと駄目か」
「ああ、西瓜はな」
「冗談みたいな話だな」
コライは父に顔を顰めさせ首を捻って述べた。
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