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戦国異伝供書

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第百二十三話 耳川の戦いその五

「是非な」
「そうしますか」
「必ずな、ではな」
「それではですな」
「明日戦じゃ」
「日の出と共に」
「それの用意もするぞ」
 義久はさらに話した。
「これよりな」
「まずは飯を食い」
「寝てな」
「日の出前に起きて」
「朝飯に干し飯を食い」
「日の出と共に陣を敷き」
「川を渡ってきた敵を攻めるぞ」
 義弘にも話した。
「よいな」
「川を半ばまで渡ったところで」
「そうする」
「では」
「今より飯を食うぞ、ただな」
「飯を食う時はですな」
「いつも通りじゃ」
「そうしますな」
「ただ寝る時は早くしてな」
「充分に寝て」
「そして日の出前に起きるのじゃ」
 まだ暗いうちにというのだ。
「そうするのじゃ」
「その様にしてですな」
「明日戦う、敵が来るとわかっていればな」
「容易に対応出来ますな」
「うむ」
 まさにという返事だった。
「見抜けばな」
「大友家は我等に見抜かれている」
「そしてそのことに気付いておらぬ」
「大友殿が戦場におられれば」
 宗麟、彼がというのだ。
「見抜かれていましたな」
「あの方はそれなり以上に傑物であられるからな」
「左様でしたな」
「しかし今ここにおられぬ」
 そうだというのだ。
「だからな」
「それは出来ず」
「それでじゃ」
「我等に見抜かれているとは気付かず」
「動いておる、ではな」
「そこも狙い目ですな」
「左様じゃ」
 まさにというのだ。
「そこがな、ではな」
「今は、ですな」
「飯を食い」
「それも大飯ですな」
「兵にはたらふく食わせますな」
「腹がはちきれるまでに食わせるのじゃ」
 義久は笑って話した。
「まさにな」
「兎角たらふく食わせ」
「明日の戦に全力で戦ってもらう」
「そういうことですな」
「そして早いうちに皆寝て」
 そうもしてというのだ。
「そして夜明けの前に起きてな」
「干し飯を食う」
「そうしてですな」
「そのうえで」
「干し飯は具足を着けてからじゃ」
 それからだというのだ。
「そうしてからじゃ」
「食い」
「そして日の出になれば」
「敵が動くので」
「それに向かいますな」
「そうする、大友殿がおられぬのがよかったが」
 それでもとだ、義久は笑って話した。 
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