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散歩は絶対に

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第二章

「昨日見たけれど」
「ああ、けれど殴らなかっただろ」
「かなり怒っていたけれど」
「けれどケージはな」
 他のおもちゃや犬の道具と一緒に捨てられていたそれをというのだ。
「見ていたらな」
「ずっとふわりを閉じ込めていたものだから」
「あの二人の悪事の象徴に見えてな」
「腹が立ってだったのね」
「投げ捨てて壊した」
 二人の家の駐車場にというのだ。
「そしてそのままにして家に帰ったんだ」
「そうしたのね、けれどケージも」
「ああ、必要だな」
「ワンちゃんにはね」
 室内飼いにはというのだ。
「二人はふわりちゃんを買ってから赤ちゃん出来るまでずっと使ってなくて赤ちゃん生まれたその日にケージに入れたらしいけれど」
「それまでは買ったけれど入れていなかったんだ」
「おもちゃとして遊んでいたのね」
「ああ、いつも遊ぶおもちゃはおもちゃ箱に入れないな」
 文太は由里子に話した。
「そうだな」
「ええ、そうね」
 由里子も文太の言葉に頷いた。
「子供は」
「そういうことだ」
「本当に新しいおもちゃが手に入ったから」
「ふわりはおもちゃ箱に入れたんだ」
「それで後はほったらかしね」
「そう思うと本当に腹が立ってな」
 そうしてというのだ。
「腹が立って仕方なくてだ」
「投げ捨てて壊したのね」
「そうした」
「そういうことなのね」
「ケージはまた飼う」
 それはするというのだ。
「今日仕事帰りにな」
「そうするのね」
「ふわりの家だからな、しかし閉じ込めたりなんかな」
 それはというのだ。
「間違ってもな」
「しないわね」
「ああ、決まった時間に出して遊ばせてな」
「それでお散歩にも」
「連れて行くな、犬小屋と一緒だ」
 ケージ、それはというのだ。
「だから飼うぞ、そして散歩はな」
「行くわね」
「これから毎朝、夕方もな」
 こう言ってだった。
 文太はふわりのおもちゃや服を入れた粗大ごみ扱いの袋の中から出していたそのリードを手に取った、小型犬用のそのリードを見て彼はまた由里子に言った。
「このリードもな」
「埃被っていたわよね」
「それで埃拭いたな」
「埃被るまでの間お散歩に連れて行ってなかったのね」
「おもちゃと遊んでな」
 自分達の子供というそれと、というのだ。
「そうしていたんだ」
「つくづく最低な人達ね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「俺達は絶対にな」
「あんな人達みたいなことはしない」
「そうだ」
 絶対にという言葉だった。
「それはいいな」
「ええ、じゃあね」
「今から散歩だ」
 こう言ってリビング今ふわりがいるその部屋に行った、ふわりはこの時まだ捨てられたということに打ちひしがれて。
 塞ぎ込んだまま隅で寝ていた、前にあるドッグフードやミルクを入れた皿には口は付けられていなかった。
 文太はその彼女のところに行ってふわりに声をかけた。
「ふわり、散歩に行くぞ」
「クゥン?」
 ふわりは彼の言葉に目を覚まして彼を見た、だが。
 散歩と聞いてまさかと思って起き上がった、そしてだった。
 文太それに由里子を半信半疑もっと言えば疑が八分の目で見ていた、文太はその彼女の首輪にリードを付けてだった。 
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