恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十六話 軍師達、狐を見るのことその六
チンもだ。店でラーメンを食べていた。その彼にだ。
五郎八がだ。難しい顔で彼に話していた。
「おい、一つ聞いていいか」
「何でしゅか?」
「御前キムのこと知ってるよな」
「はい、ジョンさんのことも」
「あいつは元からあんなのか?」
そのだ。正義一辺倒の性格はというのだ。
「あんな風に何かあれば乱舞なのかよ」
「そうでしゅよ。悪と見ればでしゅ」
「ああしてくれるのか」
「それは貴方もでしゅね」
「ああ、会っていきなりだった」
どうなったかというのだ。それでだ。
「ボコボコにされてな。それからな」
「捕まったのでしゅね」
「一回死んだ」
一言だった。
「そこからずっと修業と強制労働の日々だった」
「そうでしゅね。キムさんに会えばそれで終わりでしゅ」
「ったくよ。この世界でもな」
どうするつもりだったかとだ。彼はうどんを食べながら話す。ワフウのうどんだがそれを食べながらだ。ラーメンをすするチンに話すのである。
「好き放題しようと思ってたのによ」
「できなかったのでしゅね」
「ああ、いきなり会ったからな」
この世界に来てすぐにだったというのだ。
「それで牢屋に入ったらな」
「牢屋でしゅか」
「場所は屋敷だったがそこは牢屋だったよ」
まさにそれだったというのだ。
「何しろ逃げられねえからな」
「そうでしゅね。捕まったら逃げられないでしゅから」
「起きてから寝るまで強制労働と修業でな」
「休む時間はないのでしゅね」
「飯食う時と風呂に入る時にな」
「あとは寝る時だけでしゅね」
「他には何もないからな」
それがキムの考えたスケジュールだった。しかもそれを実行に移す。
「もう楽しみなんてな」
「ないでしゅね」
「食い物だってあれだよ」
唯一の楽しみになりそうなそれもというと。
「すげえ粗末なもんばかりでな」
「ではうどんは」
「こんなの食ったの久し振りだよ」
今食べているだ。それにしてもだというのだ。
「本当にな」
「本当に大変だったのでしゅね」
「大変なんだよ」
話は現在進行形だった。
「だったじゃねえんだよ」
「ううむ、キムさんに捕まれば」
まさにその時はだというのだ。それはチンもよくわかることだった。
「私も危ないでしゅね」
「ああ、あんたもあれだったよな」
「脛に傷が一杯あるでしゅ」
どうして金を儲けているか。それは裏から見てもなのだ。
「実はキムさんとジョンさんにはずっと目をつけられているでしゅ」
「そうだったのかよ」
「キムさんのところにならなくてよかったでしゅ」
「あの娘の陣営な」
「はい、董卓さんの」
まさにそこだった。彼女のところだ。
「ならなくてよかったでしゅよ」
「ったくよ。何で俺達がキムの陣営なんだよ」
それが問題だった。五郎八にとっては。
「ついてねえぜ」
「キムさんの陣営ではないでしゅよ」
「結果として同じだよ」
キムの奴隷になっているからだ。それでそうなるというのだ。
「今だってな。実はな」
「脱走しているんでしゅね」
「抜け出てそれで食ってるんだよ」
そのうどんをだというのだ。
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