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オズの木挽きの馬

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第九幕その六

「十勇士のムードメーカーですよね」
「佐助と一緒でか」
「才蔵さんがクールで伊佐さんが嗜めて」
「そうしてであるか」
「海野六郎さんはまとめ役で」
「左様、六郎はもう十勇士のリーダーだな」
 この人はそうなるというのです。
「まさに」
「そうしたところですね」
「重蔵が知恵袋でな」
「他の方もそれぞれポジションがありますね」
「十人それぞれでな」
「それで清海さんは」
「佐助と並んで、であるか」
 清海さんは恵梨香に笑って応えました。
「十勇士のムードメーカーか」
「そうだと思いますので」
 それでというのです。
「それでいいかと」
「そういえばいつも考えなしに動くとな」
「佐助さんが一緒ですね」
「才蔵と伊佐に窘められてな」
 そうしてというのです。
「海野の方の六郎がまとめてな」
「収まりますね」
「そこで殿が常にな」
「びしっとですね」
「見事なお考えを出され」
 清海さんは明るい笑顔でお話しました。
「我等はそれに従って動く」
「それが十勇士ですね」
「殿の言われることに間違いはない」
「もう常にですね」
「的確で理に適っておってしかも命や義理を忘れぬ」
「そうしたお考えを出されますね」
「殿は知恵者でもあられるからな」 
 幸村さんはというのです。
「その武芸も素晴らしくてな」
「幸村さんって厳しそうな人だね」
 木挽きの馬は清海さんのお話を聞いて言いました、知恵者でありしかもとてもお強いと聞いてそう思ったのです。
「どうも」
「そうよね、いつも修行ばかりしていて」
 ガラスの猫もこう思いました。
「やっぱり」
「そんなイメージあるね」
「どうしてもね」
「それもかなり」
「いやいや、殿程優しい方はおられぬぞ」
 清海さんは木挽きの馬達にすぐに返しました。
「これがな」
「そうなんだ」
「優しい人なの」
「わし等にも大助様にも決して怒られることなく」
 それでというのだ。
「常に穏やかに諭され声を荒くされることもな」
「ないんだ」
「いつも穏やかなんだ」
「常に水面の様に落ち着いておられる」
「そうした人なんだ」
「それが幸村さんなのね」
「戦場ではご自身が先頭に立たれ一騎当千の強さを発揮されるが」
 それでもというのです。
「それ以外の時はな」
「とても穏やかで優しい」
「そうした人なの」
「左様、あれだけの人格者もそうはおられぬ」
 こうも言うのでした。
「まことにな」
「ううん、強くて頭もよくて優しい」
「凄い人ね」
 木挽きの馬もガラスの猫もそのお話に思わず唸りました。
「そんな人が清海さん達の主君で」
「オズの国でも一緒にいるのね」
「何ていうかね」
「清海さん達はいい主をお持ちね」
「そうじゃ、わし等の殿はこれ以上はない方じゃ」
 清海さんはその通りだと笑って言いました。 
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