戦国異伝供書
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第百二十話 三州奪還その十四
「その伊東家を助けることをな」
「大義としてですな」
「日向に来る」
「そうしてきますな」
「そうしてくることが考えられるからな」
それでというのだ。
「我々はな」
「是非にですな」
「我々はですな」
「大友家から目を離さず」
「備えておきますな」
「若し来るなら」
軍勢を向けて来るならというのだ。
「迎え撃ってな」
「戦いますな」
「そうしますな」
「その時は」
「戦わずに降るなぞ」
それはというのだ。
「薩摩隼人にはないな」
「左様ですな」
「その様なことは有り得ませぬ」
「我等にとっては」
「薩摩隼人にとっては」
「そうじゃ、そして日向は渡さぬ」
この国はというのだ。
「それは代々公方様に認められた我等の国の一つだからな」
「はい、鎌倉様の頃から」
「そして室町様もでした」
「織田殿がどう言われるかわかりませぬが」
「それでもですな」
「我等はですな」
「左様、日向もまた我等の国」
そのことが認められているというのだ。
「だからな」
「守りますな」
「我等の国なら」
「それならばですな」
「断じてですな」
「そうじゃ、あの国を守る」
日向をというのだ。
「よいな」
「それでは」
「大友家が来れば」
「迎え撃ち」
「退けましょうぞ」
「さて、何万の軍勢で来るか」
その大友家の軍勢がというのだ。
「一体な」
「三万か四万か」
「少なくともかなりの数ですな」
「そのことは間違いないですな」
「やはり」
「うむ、しかしな」
義久は家臣達に話した。
「如何にじゃ」
「敵の数が多くとも」
「それでもですな」
「怯みませぬな」
「それはないですな」
「うむ」
断じてというのだ。
「今言った通りな」
「薩摩隼人ならば」
「戦わずして降るなぞ」
「国を失うなぞ」
「それはないですな」
「そうじゃ、だからな」
それでというのだ。
「戦うぞ」
「わかりました」
「それではです」
「大友家が来れば」
「その時は」
家臣達も応えてだった。
三国を取り戻した島津家は九州全体を見る様になった、そのうえで大友家のことを考えていくのだった。戦についても。
第百二十話 完
2020・11・1
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