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レーヴァティン

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第百八十七話 オデッサからその四

「聞くな」
「そうしますね」
「ああ、そうするな」
 こう言ってだった、久志は軍を休ませて充分に体力だけでなく気力も回復させてそうしてからであった。
 主力をオデッサに向かわせた、そして自分達もオデッサに入ってそこで待っていた芳直に話を聞いた。
「一体どうしてコサックを配下にしたんだ?」
「苦労したと聞いたんだな」
「ああ、どうしたんだ?」
「最初は降る様に言った」
「それで降らなかったか」
「そのまま暮らしていいと言ったがな」
「それでもだったんだな」
 久志は芳直とオデッサの宮殿の一つ昔の領主が別荘として建てていて今はそうなっているその中で話していた、酒を飲みつつ話している。
「連中は降らなかったか」
「だから攻めたが」
「遊牧民みたいなものだしな」
「攻めては逃げられ退くとな」
「攻めてきてか」
「手を焼いた」
 そうだったというのだ。
「本当にな」
「そうだったんだな」
「だが俺っちも業を煮やしてな」
「掃討戦をしたとは聞いてないぜ」
久志はここで嗤って言った。
「それはな」
「ああ、それはせずに済んだ」
「考えてはいたんだな」
「最後の手段と考えていたがな」
「神具を使ってでもだな」
「本気で考えたが」
 それでもというのだ。
「せずに済んだ」
「どうしてせずに済んだんだ?」
「その前に会談をこちらから申し出た」
 そうしたというのだ。
「掃討戦にするにしてもな」
「まずは話し合いか」
「そう思ってな」 
 それでというのだ。
「こちらからそうしたが」
「それでか」
「向こうが応じてくれた、どうもこちらから降る様に言うと反発したが」
「会談、お前と話をすることはか」
「まんざらでなくてな」
 それでというのだ。
「このオデッサでコサックの酋長達との会談になってな」
「それでか」
「連中が酒を出せって言うから酌み交わして飲んでな」
「話が整ったか」
「そうなった、どうもコサックは一方的に言われるのは嫌いでな」
「話し合いだといいんだな」
「そうした考えの連中だった、そしてその会談にはな」 
 芳直は自分が持っている大きな木製のジョッキを見た、その中には強いウォッカがなみなみとある。
「これが絶対とのことか」
「酒はか」
「それもウォッカがな」
「それでウォッカを飲みながら話すとか」
「あっさり終わった、カフカスの方もな」
「そっちも苦労したらしいな」
「コサックの酋長達からアドバイスを受けてあちらの領主達ともな」
 彼等ともというのだ。
「飲みながらな」
「話をしたらか」
「話がまとまった」
 そうなったというのだ。
「帝国に入った」
「降る様に言わず会談か」
「それがこの浮島のコサックの流儀でな」
「カフカスでもか」
「そうだった」
「それに気付くまでか」
「戦もしたしな」
 避けていたそれもというのだ。 
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