戦国異伝供書
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第百十九話 悪人達の絵その十二
「あとはです」
「うむ、一気にな」
「日向を攻めて」
「高原城を攻め落としてな」
そうしてというのだ。
「そしてです」
「伊東家の城を攻めていくか」
「攻め落としてです」
そしてというのだ。
「降して」
「そうすればな」
「伊東家は降せます、まだ伊東家の兵は数はいますが」
「この戦でこれだけ多くの名のある者を失うとな」
「兵はいてもです」
それでもというのだ。
「将帥がおりませぬ」
「うむ、だからな」
「その力かなり弱まりましたので」
それでというのだ。
「あとはです」
「楽に攻められるな」
「兵はいても」
「将帥がおらぬとな」
「最早それは烏合の衆です」
「左様であるな」
「ではです」
歳久も言ってきた。
「この戦の始末が終われば」
「その後はな」
「伊東家を攻めましょう」
「うむ、この度の戦は出せる兵は少なかったですが」
「七百位でな」
「城の兵を集めましても」
「それでもな」
義久も言った。
「今度はより多くの兵を出せる」
「肥後の方への備えを確かにしてです」
「領地の政を穏やかにすればな」
「国人達への抑えの必要もなくなり」
「逆に国人達の兵も用いられてな」
「より多くの兵を動かせます」
「その兵ですが」
家久も言ってきた。
「薩摩と大隅は元々兵が多いので」
「日向も手に入れると四万になる」
「四万もいればです」
「大友家や龍造寺家にも負けぬ」
「そうなりますな」
「そこに鉄砲を多く持たせれば」
「鬼に金棒です」
家久は笑って言った。
「まさに」
「そうであるな」
「ではまずは日向ですな」
「日向も取り戻せば」
それでというのだ。
「我等はもうな」
「はい、領地を完全に取り戻したので」
「それでよい、後はその四万の兵でな」
「領地を守りますな」
「そうする、後は織田殿に三国の守護を認めて頂ければ」
それでとだ、義久は言った。
「よい」
「左様でありますな」
「それでな」
「その織田殿は変わらずです」
歳久が言ってきた。
「領地のそして天下の政に励まれて」
「戦はじゃな」
「もう一切されず」
そしてというのだ。
「検地に刀狩り、そして天下の政の仕組みもです」
「整えられておるか」
「安土に見事な城を築かれ」
「そして大坂にもとか」
義弘も言ってきた。
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