| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百八十五話 大騎馬戦その十一

 帝国軍は追撃戦に移った、そうして敵をさらに攻めていったが。
 騎兵隊の多くは取り逃がし歩兵や砲兵を多く捕えた。久志はその捕虜達を見て将兵達に強い声で告げた。
「飯を食わせて手当もな」
「しますか」
「そうしますか」
「今は敵だけれどな」
 それでもというのだ。
「後で味方になるんだ」
「だからですね」
「悪く扱うな」
「そう言われますね」
「礼を以て対せよ」
「その様に」
「そうさ、お前等だって虐待されたら嫌だろ」
 こう言うのだった。
「そうだろ」
「はい、そのことは」
「我々にしても」
「それは嫌です」
「どうしても」
「そうだろ、だったら余計にな」
 自分も粗末に扱われたら嫌ならというのだ。
「本当にな」
「捕虜は大事に扱え」
「人間として」
「そう言われますね」
「捕虜だから武装解除して牢には入れるけれどな」
 そうして監視するがというのだ。
「けれどな」
「食事は与え」
「そして人として接する」
「そうしろというのですね」
「ああ、あと死んだ敵の人や馬は生き返らせてな」
 生き返らせられる者はというと。
「人は捕虜にして馬はな」
「こちらで使う」
「我が軍の馬にする」
「そうしますね」
「折角いい馬が多いんだからな」
 それならというのだ。
「こっちで使わないと損だろ」
「はい、確かに」
「それではですね」
「馬達もですね」
「こちらに入れますね」
「生き返らせてな、じゃあそうしたこともしつつな」
 そのうえでとだ、久志は将兵達に話した。
「ブダペストに向かうぞ」
「わかりました」
「それではですね」
「敵の兵や馬達を復活させながら」
「そのうえで」
「ブダペストに向かうな」
 こう言ってだった、久志は戦場の処理をしつつそのうえでブダペストへの進撃も告げた。帝国軍は遂に今の戦略目標の一つに達しようとしていた。


第百八十五話   完


                 2020・11・8 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧