宝を捨てた男が得たもの
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第一章
宝を捨てた男が得たもの
会社員をしながらボランティア団体で保健所にいる保護犬や保護猫を引き取って新しい飼い主を探している山村義人は今その保健所にいた、そしてもうすぐ殺処分される犬や猫達を共に活動している人達と共に預かっていた。背は一七〇程で眼鏡をかけた面長の顔である。黒髪を右で七三分けにしていて清潔な身なりだ。すらりとしていて背筋がしっかりしている。
その中でだった、彼は一匹の茶色の毛で腹や足は白い秋田犬を見て言った。
「コロじゃないですか」
「知ってる子ですか?」
「会社の後輩の飼ってる犬です」
その犬コロを見て話した。
「この子は。雄ですよね」
「はい、秋田犬の」
「間違いないです、どうしてここに」
「山で一匹でいまして」
「迷い犬で」
「首輪がなくて」
「クゥ~~ン・・・・・・」
その犬は山村をすがる目で見て鳴いてきた、明らかに知り合いに助けを求めている。山村はその彼を見つつ話した。
「そうですか、山に捨てられていましたか」
「そうです、明日に」
「この子も引き取ります」
山村は保健所の人に答えた。
「それで、です」
「助けてくれますか」
「はい」
このことを約束した。
「他の子達と一緒に」
「それではお願いします」
「はい、後輩の家に招かれた時この子見ましたが」
「捨てられたんですね」
「そうですね、これは」
山村は目に怒りの炎を宿らせてだった。
他の犬や猫を引き取れるだけ引き取った、そのうえで今は保健所を去って早速犬や猫の飼い主達を探した。
そしてそのうえで一旦その後輩鳩山直人の部屋に行った、茶色の髪の毛で中肉中背の外見は平凡な男だ。仕事ぶりは問題ないが。
その彼のところに行って何気なく尋ねた。
「コロは?」
「あっ、ちょっと実家に預けまして。最近プライベートで忙しくて」
鳩山は視線を少し逸らして山村に答えた。
「それで実家に」
「そうなんだ」
この時は何気なく聞いた、だが携帯でこのやり取りは録音を取っていた。そしてコロの画像も携帯に保存して。
後日職場で周りに同僚に先輩に後輩そして上司がいる前で彼はあっらためて鳩山に問うた。
「コロは元気かな」
「ええ、実家にいますけれど」
やはり視線を逸らして答えた。
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