レーヴァティン
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第百八十五話 大騎馬戦その四
「そうしたこともな」
「してもおかしくないね」
「ああ、それでスターリンがか」
「そうさせていたんだ」
「問題外だな」
「人に損害を出させない為の地雷撤去だからね」
「それで人を歩かせてとかな」
久志は顔を顰めさせたまま言った。
「本末転倒だろ」
「だから階級とか人民の敵だから」
「人間じゃないか」
「共産主義ってそうじゃない」
剛の返事はあっさりした口調でのものだった。
「そうだよね」
「階級の敵とか人民の敵になったらな」
「もう容赦しないよね」
「即座に粛清だからな」
「それでスターリンもね」
「そういうことしたんだな」
「というか共産主義って人命軽視だし」
剛はこのことも指摘した。
「革命の為に犠牲は付きものだから」
「幾ら死んでもいいんだな」
「そういう考えだから」
「そうしたこと出来るんだよな」
「そうだよ」
「俺でも凶悪犯はそうしてもな」
地雷原を歩かせてもというのだ。
「それでもな」
「思想犯とかはだね」
「というか思想犯自体がな」
そもそもこの考えがというのだ。
「ないからな、カルト教団とか過激派でもな」
「そうはしないね」
「テロとして処罰するからな」
そうした考えだからだというのだ。
「それでな」
「地雷原を歩かせないね」
「死刑囚でもないとな」
「それが普通だね、というか死刑廃止論だとね」
「それ自体ないな」
「僕達は全員死刑肯定しているけれどね」
それでもというのだ。
「廃止論者だと」
「それ自体アウトか」
「そうだよ」
「死刑にしないと刑務所に入れてな」
それでというのだ。
「飯も食わせて金がかかるしな」
「その分ね」
「懲役にしても金がかかるんだよ」
税金がかかるのだ、このことは紛れもない事実だ。
「人何人も殺す奴とかな」
「更生する見込みないしね」
「そんな奴はな」
「死刑にしないとね」
「ああ、だからな」
「死刑囚に地雷原歩かせても」
「それで踏んで死んだ奴の魂を消す」
そうして完全に殺すというのだ。
「そうしてもな」
「いいよね」
「ああ、死刑囚はな」
「そうそう、けれどソ連だとね」
スターリンの頃のこの国はというのだ。
「そうしてね」
「地雷原突破していたんだな」
「後ろに督戦隊置いてね」
「銃持って応援だな」
「そうそう、一歩でも退いたら」
その懲罰大隊の兵士達がだ。
「その時はね」
「容赦なく撃っていたんだな」
「そうだったんだ」
「地雷踏んだら死んでか」
「退いてもね」
「嫌なことだな」
「まあそれで生き残ったら」
双葉が言ってきた。
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