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ぶるぶる

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第一章

                ぶるぶる
 大阪は基本暑い、特に夏の暑さはかなりのものである。しかしその大阪でも冬がある。そしてやはり冬は寒い。
 それでだ、山田香澄は姉の陽菜に住之江区にある自分達が住んでいるマンションの中で言った。
「寒いわね」
「そうね、かなりね」 
 姉もこう答えた、見れば。
 陽菜ははっきりとした小さめの目でそれぞれの目の上に細く一直線の眉があり茶色の長い髪の毛を二つに束ねていて前はピンクの二つのピンで止めている。一六二位の背で胸は九十近くある。その姉に対して妹の香澄は姉と同じ小さめの目であるがこちらはじと目でしかも左目は前髪で隠している。その前髪は黒のショートであり背は姉と同じ位だが胸は姉よりやや大きい感じだだ。だが姉の表情は明るく妹のそれは暗い。
 その妹が自宅のこたつの中で姉に言ったのだ。
「今日は特に」
「これでもこたつに入ってね」
 姉も言った。
「どてら着てるのに」
「それでもね」
「ええ、本当に今日は寒いわね」
「どうしてかしら」
「暖房も入れてるわよ」 
 見ればヒーターも入れている。
「それでね」
「この寒さはないわ」
「大阪ってこんなに寒い?」
 陽菜は妹に首を傾げさせて問うた。
「神戸みたいよ」
「そうね」
 妹も頷いた、二人は神戸にある八条学園高等部の普通科に通っている。姉は二年生で妹は一年生である。学校では美人姉妹として評判である。
「この寒さは」
「正直堪えるわね」
「ええ、大阪でこんなに寒いと」
「こうなったらね」
 姉はここで妹に提案した。
「今日はお休みでお母さんはパートで」
「お父さんは休日出勤で」
 二人共今日は予定はなくこたつに入ってゲームや漫画を楽しんでいるのだ。
「誰もいないわ」
「そう、だからこたつでぬくぬくとしているけれど」
「それでもこんなに寒いから」
 それでというのだ。
「もっとあったまる?」
「というと」
「だから温かいもの食べて」
 そしてというのだ。
「お酒も飲んでね」
「まだお昼なのね」
「だってこんなに寒いしお休みだし」
 それでというのだ。
「お風呂にはまだ早いし」
「それでなの」
「もういいでしょ」
「お昼から飲むのね」
「暖かいもの食べながらね。焼酎で温まりましょう」
「幾ら何でもお昼は。けれど」
 それでもとだ、妹も。
 あまりにも寒いので姉に答えた。
「今日は仕方ないわね」
「これだけ寒いとね」
「こたつに入って暖房入れてどてらも着てるのに」
 二人共ジャージでその下にストッキングを二枚重ねで穿き靴下も毛糸のものだ。そこまでしても寒いのだ。
「もういいわね」
「でしょ、じゃあここにお鍋出して」
 言いつつ姉は一時ゲームを中断した、そうして妹に言った。
「それでインスタントラーメン作りましょう」
「それでお昼ね」
「お酒も飲んでね」
「それじゃあ」
 妹も寒さに負けた、そしてだった。
 二人でお昼の用意をした、こたつから出たくなかったがそれでも食事でもっと温まりたくなってだった。 
 それぞれこたつから出て寒さを我慢しながら鍋とインスタントラーメンに箸に容器に茶碗に焼酎を出してだった。 
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