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歪んだ世界の中で

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第四話 努力をしていきその七

「好きだよ。ただね」
「甘いものを食べると?」
「太るんだよね」
 まただ。体重のことをだ。希望は困った顔で話した。
「どうしてもね」
「太るのならね」
「そう、身体を動かせばね」
 それでいいというのだ。千春は笑顔で話す。
「そうすればいいから」
「甘いものを食べても」
「それで簡単に済むから」
「じゃあこれからは甘いものを食べても」
「泳いだり走ったりしてね」
 具体的にはだ。そうすればいいというのだった。
「そうすればいいから」
「そうだね。本当にね」
「だから食べて」
 千春は無花果の一つをその手に取ってだ。
 それを希望の前に出してだ。人差し指と親指で持っているそれを彼の口の前に持って来た。そこから彼に食べさせようというのだ。しかしそれはだった。
 希望は気恥ずかしく笑ってだ。こう千春に言った。
「いや、それはいいよ」
「いいって?」
「自分で手に取って食べるから」 
 食べさせてもらわなくていいというのだ。
「だからね」
「そうなの。遠慮しなくていいのに」
「遠慮じゃなくてね」
「違うの?」
「恥ずかしいから」
 だからだというのだ。
「それはいいから」
「そう。それじゃあね」
「気持ちは受け取らせてもらうよ」
「恥ずかしくなくなったら」
 その手は引っ込めた。しかしだった。
 千春はにこりと笑ったままだ。希望にまた言ったのだった。
「その時はね」
「その時はって」
「千春、希望に食べさせてあげるね」
 そうするというのだ。今は駄目でもだ。
「それでいいよね」
「だからそれは」
「恥ずかしくなくなったらね」
 また言う千春だった。それでもだとだ。
「その時にまたね」
「ううん、仕方ないなあ」
 千春の無邪気な押しにだ。希望もだ。
 そうした顔になってだ。そして応えたのだった。
「それじゃあね」
「その時にね」
「うん、お願いするよ」
 こうして話を決めた千春だった。彼女のペースで。
 そのまま弁当を食べてだ。それからだった。
 二人はまた泳ぎプールを楽しんだ。そして三時位になるとだ。
 希望はだ。こう千春に言ってきた。二人は今はジャングルのプールの中を二人で泳いでいた。
 その時にだ。彼は千春に言ったのである。
「もういい時間かな」
「泳ぐのはこれで終わりなの?」
「午前中から泳いでたしね」
 それでだというのだ。
「もういいんじゃないかな」
「そうだね。もういい時間だしね」
「泳ぐのはこれで終わる?」
 希望は再び千春に言った。
「それからだけれど」
「うん、プールを出たらね」
「もういい時間になるけれど今度は何処に行く?」
「プールの外でお茶飲もう」
「お茶?」
「そう。お茶飲もう」
 これが千春の希望への今の誘いだった。 
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