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二匹の愛犬

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第二章

 そうこうしているうちに子供がぐずりだした、すると。
「何だこのガキ」
「うう・・・・・・」
 赤子は曽良の声に余計にぐずった、そうして。
 遂に泣いたがここでだった。
「ワン!」
「ワンワン!」
 これまで玄関で静かに寝ていたナポレオンと半蔵がだった。
 家の子供が泣きだすと急に起きだして曽良に鳴いた。
「ワンワンワン!」
「ガルルルルル!」
「な、何だこいつ等!?」
 口煩いが根は小心なことこの上ない曽良は。
 犬に吠えられただけで失禁した、それも大きい方まで。丁度そこを女子高生や小学生達が通りがかり。
 まず小学生達が彼を指差して笑った。
「あの嫌なおっさん漏らしたな」
「ああ、うんこまで漏らしたぞ」
「ここまで匂うぞ」
「くっせえな」
「明日学校で言おうぜ」
「家でもな」
 こう口々に言うのだった。
「俺あのおっさん嫌いだしな」
「俺も嫌いだよ、性格悪いから」
「ざまみろ、もらしやがって」
「学校中に言いふらしてやる」
「うんこ漏らしうんこ漏らし」
「くせえくせえ」
「汚いな」 
 やがて曽良を囃しだした。
「俺達だってうんこなんて漏らさないぞ」
「犬の吠えられただけで漏らすなよ」
「どれだけ怖がりなんだよ」
「これからうんこのおっさんって呼んでやろうぜ」
「犬に吠えられただけで漏らしたってな」
 小学生は笑いながら去っていった、そして。
 女子高生達はその彼の姿をスマホで撮影した、濡れてビショビショになっただけでなく尻のところがこんもりとなって茶色に汚れている彼の姿を。
 そうしてだ、その画像を観ながら言った。
「うわ、ないよね」
「マジ最悪よね」
「下品なおっさんと思っていたら」
「私達にもいやらしいことばかり言う」
「しかもお口の臭いね」
「体臭もきっつい」
「お風呂絶対碌に入ってない様な人だったけれど」 
 それだけでなくというのだ。
「うんこまで漏らすとかね」
「最悪じゃない」
「まあこの人には相応しいけれどね」
「この画像ツイッターで晒そう」
「いいよね、顔にモザイクかけてね」
「本人バレしないといいし」
「まあモロバレだけれどね、ご近所には」
 わかってて言うのだった。
「学校でも言うしね」
「家でもね」
「この姿晒してやろう」
「ご近所の嫌われ者だしね」
「もう皆嫌ってるし」
「そうしてやろう」
「そうしたらもう絶対にあちこちに文句言えないし」
 こう言って女子高生達は即座にツイッターに晒しラインでその画像を紹介した、そうしてその場を去った。
 そして残された曽良は。
 千和に何も言わず顔を真っ赤にしてその場を去った、当然漏らしたのはそのままで家に帰ってそれからだった。
 町内どころか日本中で失禁男として知られる様になり某巨大掲示板でアスキーアートまで作成された、それでだった。
 会社でも元々鼻摘み者だったのが失禁男として嘲笑される様になり辞めざるを得なくなり町内にいられなくなり。
 逃げる様に引っ越して後は行方知れずになった、何でも引っ越し先ではかなり大人しくして在宅ワークをしているとのことだ。
 そして千和は犬達のことを家に帰って夫に話すと夫は笑顔で言った。
「義光を守ってくれたんだな」
「ええ、勇気を以てね」
「立派だな。、お兄さんとしてか」
「ええ、そうしてくれたのよ」 
 妻は笑顔で話した。 
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