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戦国異伝供書

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第百十八話 水色から橙へその五

「していきましょうぞ」
「では早速な」
「蒲生家等とですな」
「戦っていくぞ、そしてな」
「薩摩と大隅ですな」
「二国を我等の手に完全に取り戻す」
 こう言ってだった、義久は弟達と共に戦の場に踏み入った、早速四人揃って岩剣城を攻めることになったが。
 義久は総大将の座から諸将に告げた。
「よいか、敵の城を囲んでじゃ」
「そうしてですか」
「そのうえで、ですか」
「鉄砲をあるだけ城の敵に向けて撃ち」
 そうしてというのだ。
「城壁の上や櫓にいる敵兵を倒し」
「その間にじゃ」
 今度は義弘が言ってきた。
「城に向かって切り込むぞ」
「鉄砲の音でも敵を怯ませる」
 歳久も家臣達に話した。
「だからありったけの鉄砲を使うぞ」
「手柄を立てれば褒美は思いのままじゃ」
 家久も言う。
「存分に戦うぞ」
「はい、それでは」
「鉄砲をあるだけ使い」
「城を攻め落としますか」
「その様にするぞ」
 家久は自ら鉄砲を撃った、そして義弘と共に鉄砲が撃たれる中城の門に向かいそれを強引にこじ開けた、そうしてだった。
 城を攻め落とした、これには誰もが驚いた。
「何と、初陣で城を攻め落とされるとは」
「又三郎様お見事じゃ」
「これは末恐ろしい方になられるぞ」
「又三郎様だけではないぞ」
 他にもというのだ。
「又四郎様もじゃ」
「又六郎様も然り」
「そして又七郎様も」
「どの方も出来物じゃ」
「あの方々がおられるなら」
「当家は大きくなるぞ」
「再び薩摩戸大隅を一つに出来るぞ」
 皆それぞれ言う、そしてだった。
 義久は城に戻ると弟達に言った。
「初陣は勝った、しかしな」
「まだまだこれからです」
 ここで歳久が言ってきた。
「そしてです」
「さらにであるな」
「はい、焦ってはなりませぬが」
 それでもというのだ。
「薩摩と大隅を一つにしたならば日向ですな」
「当家はあの国の守護でもあるからな」
 幕府にそう定められているからだというのだ。
「何としてもな」
「あの国もですな」
「取り戻したい」
「ならばです」
 歳久は長兄の言葉を聞いてあらためて述べた。
「九州のことですが」
「我等のおる場所か」
「はい、今は大友家が大きくなっています」
「そうであるな」
「最早九州のうち六国に及び」
 その勢力はというのだ。
「他を寄せ付けておりませぬ」
「そして日向にもな」
「来ております」 
「わしが是非にというな」
「ですから」
「日向を手に入れるならばな」
「大友家と戦になります」
 このことは避けられないというのだ。 
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