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歪んだ世界の中で

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第三話 小さな決意と大きな一歩その八

「筋肉痛でもね。捻挫でも骨折でもね」
「えっ、骨折もなんだ」
「これを塗ればすぐに治るから」
「嘘じゃないよね」
「千春嘘つかないよ」
 満面の、何の曇りもない笑顔での言葉だった。
「だから使って。希望が痛くなった時に」
「そうしていいんだ」
「そう、それでどんどん身体動かしてね」
「それじゃあ」
「疲れた時とかやる気が出ない時にはね」
 その時もあるというのだ。
「ちゃんとあるから」
「えっ、今度は何が?」
「その時に渡すから」
 今ではないというのだ。それはだ。
「だって今希望やる気があるから」
「それでなんだ」
「頑張りたいことに頑張ればいいの」
「僕が頑張りたいことに」
「希望今頭がよくなって痩せたいのよね」
「うん」
 まさにその通りだった。偽らざる本音だった。
 だがそれでもだ。今までは諦めていた。それで動かなかったのだ。
 しかし千春はその彼にだ。こう優しく言うのだった。
「だったら。頑張ろう」
「僕でもできるから」
「絶対にできるよ」
「本当に?」
「まずはね」
 最初にだというのだ。
 店の外に向けて歩きはじめ希望も来たのを見ながらだった。話すのだった。
「やれる、絶対にって思って」
「それで」
「そう、それからね」
「はじめるんだね」
「そうするの。それで」
 さらにだというのだった。
「最後の最後までやれば」
「できるんだ」
「どんなことでもできるよ」
「そうなんだ」
「大事なのは諦めないことなの」
 店の外に出た。そうしてだ。
 中華街に再び出てだ。千春は希望に話していくのだった。
「絶対にね」
「そうなんだ」
「だからまずはやれるって信じて」
「やることなんだね」
「そう。だからはじめよう」
 希望に顔を向けてだ。満面の笑みで言ったのである。
「希望がそうしたいのならね」
「立ち止まっているんじゃなくて」
「立ち止まっても何にもならないよ」
 それは駄目だというのだ。立ち止まることはだ。
 それでは何が大事なのか。千春の言葉は変わらなかった。
「まずは動くことだから」
「動いて。そうして」
「諦めないの」
「そうすれば絶対になんだ」
「どんなことでも適うよ」
「じゃあ僕の」
 そのだ。痩せることと勉強ができるようになることだ。
 この二つがだ。どうなるかというのだ。
「できる、それも絶対に」
「そう、何があってもね」
「わかったよ。それじゃあ」
 千春の話を聞いてだ。そうしてだった。
 希望は意を決した。そのうえでだ。あらためて彼女に言ったのだった。 
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