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歪んだ世界の中で

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第三話 小さな決意と大きな一歩その六

「食べよう。それじゃあね」
「うん、それじゃあ」
 希望は少しだけ明るくなった顔で千春の言葉に頷いた。そうしてだ。
 箸を手に取りいただきますを二人でしてからだ。麺を食べだ。
 それから豚足もかじった。それから言うことは。
「成程ね」
「どう?美味しい?」
「麺も豚足も」
 そのどちらもだというのだ。
「凄くいいよ」
「だからこのお店にしたの」
 にこりとしてだ。千春は希望にまた述べてきた。
「豚足とラーメンの組み合わせなんてそうそうないし」
「確かに。滅多にないね」
 希望は豚足の先、蹄のところを食べていた。皮と油の柔らかいゼラチンのところを食べている。
 そのうえでだ。こう言うのだった。
「けれどそれだけに」
「そう、美味しいの」
「チャーシューみたいかなって思ったけれど」
「違うの」
「うん、また違うね」
 実際に食べてみての感想だった。
 それを食べながらだ。さらに言う彼だった。
「けれど一度食べてみたら」
「好きになった?」
「大好きになったよ」
 そこまでだというのだ。
「いや、舌に合ってるのかな」
「ううん、舌に合ってるんじゃなくて」
 そうではなく。では何かというと。
「美味しいからなの」
「それでなんだ」
「そう、そう思えるの」
「成程ね。それにしても麺も美味しいし」
 コシがしっかりしていて風味もよくだ。スープにもよく絡んでいる。
 スープはあっさりだ。それでだった。
「豚足に合ってるね」
「豚足とね。合ったね」
「そうしたラーメンなんだ」
「それで豚足も」
 ひいてはだ。そちらもだった。
「ラーメンに合わせた味付けにしてるの」
「どっちもどちtで」
「そう、調和させてるの」
「それで美味しいんだ」
 何故ここまで美味なのか、希望はわかったのだった。
「両方を調和させているからなんだね」
「うん、そうなの」
「だからこそなんだ」
「ラーメン、お料理は全部そうだけれど」 
 料理全てに言えることだというのだ。
「全部ね。まとまってるとね」
「美味しくなるんだ」
「そうなの、それぞれの味がなの」
「ううん、そういえば」
 ここでだ。希望はだ。
 他の料理も食べてみた。水餃子や八宝菜、それに唐揚げもだ。
 そういったものを食べてからだ。また言うのだった。
「この店のお料理ってどれも」
「調和できてるのよね」
「だから美味しいんだ」
「そうなの。だからこのお店紹介したの」
「それでだったんだ」
「だからどんどん食べよう」
 今度は炒飯を食べながら言う千春だった。 
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