| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九十三話 孔明、司馬尉を警戒するのことその七

 そのうえでゆで卵を食べながら。こう言うのだった。
「随分とな」
「ううん、特にあの娘はね」
「とりわけよね」
「これは一層監視必要だな」
 リチャードはこう結論を出した。
「見ていくか」
「そうね。より慎重にね」
「見ていきましょう」
 曹仁達も頷くのだった。こうしてだ。
 彼等は司馬尉を離れた場所から見ていた。そしてその司馬尉は。
 彼女の天幕の中でだ。こう話すのだった。
「見ているわね」
「はい、曹仁殿達がです」
「見ておられます」
 ビリー達が言う不気味な兵達が彼女に応える。天幕は何もかもが白い。だが白い筈なのにだ。えも言われぬどす黒さが漂っている。
 そのどす黒さの中でだ。司馬尉は話すのだった。
「それならね」
「それなら?」
「それならといいますと」
「呼んでいるから」
 自信に満ちた声でだ。司馬尉は言った。
「既にね」
「御呼びだったのですか」
「あの方々を」
「そうよ。私の最も愛する妹達」
 こうだ。妖しい笑みで言う司馬尉だった。
「あの娘達を呼んだわ」
「司馬師様と司馬昭様」
「あの方々を」
「ええ。私を支えてくれる彼女達をね」
 呼んだというのだ。
「あの娘達がいればね」
「何の問題もありませんね」
「これからのことも」
「今回の山賊退治だけれど」
 それはどうなのかもだ。司馬尉はわかっていた。
「私を見る為のものだから」
「ではここは」
「どうされますか」
「見せてあげるわ」
 笑みの妖しさがさらに深まった。
「私のやり方をね」
「司馬尉様のですね」
「その戦い方も」
「あの娘達には一切触れさせないわ」
 曹仁や田豊達にはというのだ。
「決してね」
「全てはですね」
「司馬尉様が」
「ええ、そうさせてもらうわ」
 まただ。司馬尉は妖しい笑みで言うのだった。
「私と妹達で」
「では戦の後の処理も」
「全てですね」
「そうよ。楽しみだわ」
 口元の妖しい笑みがだった。
 歪み邪なものも含ませて。そこから言葉を出したのである。
「どうしてあげようかしら」
「司馬尉様の想われる様に」
「そうされるとよいかと」
「ええ、そうさせてもらうわ」
 実際にそうするとだ。司馬尉自身も言う。
「山賊の生き残った数にもよるけれどね」
「では出来る限り生き残らせましょう」
「戦いにおいては」
 兵達も主に言う。
「そしてその後で」
「ゆっくりと」
「血、いいものだわ」
 今度はだ。目が歪んだ。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧