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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十三話 孔明、司馬尉を警戒するのことその六

「何かな、雰囲気がな」
「あれだ。こちらの世界の白装束の者達に似ている」
「あっ、言われてみれば確かに」
「そうよね」
 曹仁と曹洪も話す。
「あの連中何か影みたいな感じで」
「急に出て来たりするし」
「あの連中と似てるわね」
「雰囲気まで」
「違うのは着てる鎧とかだけじゃねえのか?」
 ダックはここまで言った。
「他そっくりだろ」
「まさかと思うがじゃ」 
 タンは己の顎に右手を当てて話した。
「あの連中と白装束の者達は関係があるのかのう」
「まさかそれは」
「ないんじゃないかしら」
 それはだ。田豊と沮授が否定した。
「幾ら何でも」
「あの娘の家はそれこそ袁家や曹家に並ぶ名門だし」
「しかもその嫡流よ」
「雲の上の名門なのよ」
「じゃあ聞くぜ」
 ビリーは鋭い目で彼女達に問うた。
「その家はどうやって出て来たんだ?」
「えっ!?」
「どうやってって?」
「だから。名門になるにはなる理由や状況があるだろ」
 ビリーが彼女達に問うのはこのことだった。
「例えばあれだろ?曹家は」
「ええ、漢王朝の功臣曹参がはじまりよ」
「私達は夏侯家の養子筋だけれどね」
 この辺りにも宦官の家であることが影響している。
「それで袁家はね」
「袁安様からはじまって」
 袁紹や袁術もその袁安からはじまっているのだ。
「高潔さや裁判の公平さが認められて世に出て」
「三公にまでなられたの」
 この袁安からだ。四代三公がはじまったというのだ。
「そういうことなの」
「これでわかってくれたかしら」
「ああ、まあな」
 ビリーは二つの家のことはわかった。
「そういうことだったんだな」
「それであの娘の家だけれど」
「あれっ!?そういえば」
「そうよね。何か急にね」
「出て来たわよね」
 四人はだ。ここでだ。
 それぞれ怪訝な顔になってだ。こう話すのだった。
「誰か何か知ってる?あの娘の家のこと」
「いえ、全然」
「そういえば何もね」
「知らないわよね」
 このことにだ。気付いたのである。
「郷里から長老に推薦されてね」
「それで出て来てよね」
 漢王朝の登用制度だ。まだ科挙はないのだ。
「代々高官を務めていて」
「けれどその詳しい出自は」
「ではだ」
 リチャードが四人に問うた。
「曹家や袁家程その出自はか」
「はっきりしないわ」
「それはその通りよ」
 こう話す彼女達だった。
「実はそうなのよ」
「確かに名門だけれど」
「まあどの家もな」
 ダックは一つの真理を話した。
「最初は何処にでもある家さ」
「まあね。御先祖が功を挙げて家を立ててね」
「それで立派になるものだから」
「名門ってそういうものだから」
「簡単に言えば」
「それでも怪しい家だな」
 ビリーは司馬尉のその家そのものにだ。胡散臭さを感じていた。
 
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