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戦国異伝供書

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第百十六話 摺上原の合戦その三

「夢中になってな」
「極めんとしてですな」
「それでじゃ」
 そのうえでというのだ。
「それにかかりきりになってじゃ」
「そのうえで」
「誰かに止められぬとな」 
 そうならならない限りはというのだ。
「かかりきりになる」
「左様でありますな」
「わしは何でも切り替えが下手じゃ」
 政宗は自ら言った、このことを自覚してそのうえで家臣達に対してどうかという声で言うのであった。
「それでじゃ」
「そのことがですか」
「どうしてもな」
「欠点になると」
「そうなるとじゃ」 
 その様にというのだ。
「考えておる」
「そうですか」
「うむ、しかしな」
「それでもですか」
「そこがわしの問題であるとじゃ」
 その様にというのだ。
「思っておる」
「そうですか」
「そこをな」
 まさにというのだ。
「これからはな」
「考えておられますか」
「天下人になるとじゃ」
 それこそというのだ。
「このことはな」
「あらためていくべきと」
「今はな」
「考えておられますか」
「うむ」 
 まさにというのだ。
「その様にな」
「そうですか」
「そこは織田殿はな」
 信長がというのだ。
「見事であられるな」
「戦が終わりますと」
 小次郎が言ってきた。
「すぐにです」
「政に入られるな」
「戦と共に政もされていますが」
「戦が終わるとな」
「すぐに政に入られますな」
「そして領土を治められ」
 新たに手に入れたそちらもというのだ。
「そしてな」
「さらにですな」
「治める仕組みまでもな」
 それまでもというのだ。
「領国の、そしてな」
「天下のですな」
「そのことまでな」
 まさにというのだ。
「定められる」
「左様ですな」
「だからじゃ」
 それでというのだ。
「織田殿は割り切っておられるのじゃな」
「割り切っておられますか」
「戦はじゃ」
 それはというのだ。
「政の為のものでな」
「それで、ですか」
「むしろじゃ」
「政ですか」
「それが主な御仁じゃ」
 信長はそうだというのだ。 
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