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戦国異伝供書

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第百十六話 摺上原の合戦その二

「関東と比べますと」
「狭いか」
「狭くすぐぬかるんだりしてしかも橋が少ない」
「そうした道か」
「ですから」
 それでというのだ。
「今後はです」
「道を広くしてな」
「橋もです」
「多く架けていくか」
「これまでもそうしてきましたが」
「これまで以上にじゃな」
「整えていきましょう」
 こう政宗に話した。
「やはり道が広いと」
「人の行き来がよくなるな」
「橋もありますと」
「そうであるな、そして」
 政宗はさらに話した。
「軍勢が進むのもな」
「楽になります」
「織田殿は天下の道も整えてです」
 小次郎も言ってきた。
「橋も多くですね」
「架けておられるな」
「そうしたこともされてですな」
「天下を治めておられる」
「左様ですな」
「それを見るとな」
 政宗は強い声で述べた。
「我等もな」
「そこはですな」
「うむ」
「やがては」
「道を広くし」
 そしてというのだ。
「橋もじゃ」
「そうされますな」
「戦をしつつ」
 そしてというのだ。
「それと共にな」
「政もされますな」
「うむ。しかし思うことは」
 政宗はここでこうも言った。
「政と戦両方を同時にするとなると」
「難しいと」
「そうも思えてきた」
「左様でありますか」
「どちらも大きな仕事であるからな」
 だからだというのだ。
「それでじゃ」
「それで、ですか」
「わしはどうも一つのことにかかるとじゃ」
 それが政でも戦でもというのだ。
「それにかかるな」
「はい、殿はです」
 成実も頷いた。
「確かにです」
「一つのことにであるな」
「かかる方ですな」
「うむ、それにかかってじゃ」
 そしてというのだ、政宗も。
「夢中になるな」
「そうした方ですな」
「そのこともあってな」
 自覚してというのだ。
「そしてじゃ」
「戦をされるとですな」
「どうしてもな」
「それに専念されますな」
「そして政もな」
 こちらもというのだ。
「どうしてもな」
「そうなられますな」
「趣味もそうであるな」
「茶も学問も料理も」 
 成実は言ってきた。
「お好きでかなりの腕ですが」
「それでもな」
 どうしてもというのだ。 
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