戦国異伝供書
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第百十五話 孤立無援その八
「芦名家との戦を有利に進める」
「そして勝ちますな」
「戦はただ戦うだけではない」
政宗は自分の考えをここでも出した。
「頭も使うべきじゃな」
「まさにその通りですな」
「だからな」
「調略もですな」
「行う、元々当家になびいている御仁はな」
その彼等はというと。
「声をかけていくぞ」
「わかり申した」
「そうして戦力を削りな」
「こちらに引き入れますな」
「そうじゃ、そしてじゃ」
それでというのだ。
「何としても勝つぞ」
「それでは出陣前にも出陣してからも」
「芦名家の家臣の面々に声をかけていくぞ」
そうするというのだ。
「よいな」
「それでは」
「しかしです」
今度は成実が言ってきた。
「こちらがしてくるとなると」
「相手もしてくるな」
「はい、世はそうしたものなので」
「だからじゃな」
「そこは気をつけていかねばなりませんな」
「うむ、佐竹家は動けずともな」
それでもというのだ。
「こちらに調略を仕掛けることはある」
「だからですな」
「そこは用心をしてな」
そうしてというのだ。
「戦うぞ」
「それでは」
「普段からわしは家臣達に気を配っておるつもりであるが」
禄を弾み褒美も惜しまない、それと共に罰するべきことは罰してそうして統制を取っているのである。
「それでもな」
「調略にはですな」
「気を付ける」
そうするというのだ。
「わしもな」
「そうしますな」
「そしてじゃ」
それでというのだ。
「こちらは裏切る者が出ない様にしてな」
「戦いますか」
「わしはこれまで調略も多く使ってきた」
「そうして他の家を切り崩し降してきました」
「そのわしに仕掛けることもな」
相手つまり芦名家がというのだ。
「有り得る」
「左様ですな」
「そしてわしが策にかかるとな」
調略を得意としている自分がというのだ。
「まさに笑い者じゃ」
「策士が敵の策にかかるなぞ」
「だからじゃ」
「決してですな」
「芦名家の策にはかからぬ様にする」
その様にするというのだ。
「注意してな」
「そうしてですな」
「戦う、背水の陣の敵をな」
「倒す戦をですな」
「はじめる、では三日後に備えてな」
出陣のその時にというのだ。
「皆しかと休む様にな」
「出陣してからの戦に備えて」
「そうしてですな」
「休むべきですな」
「その様にせよ」
こう言ってだった。
政宗は三人と共に茶を飲んだ、そして茶の味も楽しんでそのうえでこんなことも言った。
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