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戦国異伝供書

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第百十五話 孤立無援その七

「ではな」
「はい、準備が整いましたし」
「それで、ですな」
「戦に入りますな」
「そうしますな」
「その様にする」
 まさにというのだ。
「では三日後にじゃ」
「出陣ですな」
「そうする」
 こう言ってだった。
 政宗は出陣の日も決めてそうして今の軍議を終えた、だが彼はその後で片倉と成実そして小次郎を茶室に呼び。
 茶を飲みつつこう言った。
「さて、芦名家もじゃ」
「ここで負けますと」
 小次郎が言ってきた。
「もうです」
「滅びるしかない」
「そうですな」
「敗れれば間違いなく佐竹家に逃れる」
「そうなりますな」
「ご当主殿が元々佐竹家の方であるからな」
「そうなりますな」
 小次郎はさらに述べた。
「領地を失われて」
「うむ、だからな」
「この度はですな」
「何としてもとなってな」
「戦われますな」
「間違いなくな」
「先の五家との戦では我等が背水の陣でしたが」
 それでもとだ、小次郎は怪訝な顔で言った。
「今度はですか」
「芦名家がそうなる」
「では芦名家も踏ん張りますな」
「間違いなくな、しかしな」
「それでもですな」
「佐竹家からの助けは得られぬ」
「北条家が後ろで佐竹家を牽制するので」
 兄のその言葉に応えた。
「だからですな」
「そうじゃ、それに家中のまとまりがな」
「今の芦名家は今一つです」
 片倉も言ってきた。
「どうも」
「そうであるな」
「元々芦名家の方ではないので」
 家の主がというのだ。
「ですから」
「どうしてもな」
「家臣の方々がついてきていませぬな」
「そうした御仁が多い」
「だから家のまとまりが悪い」
「そこも狙い目じゃ」
「戦の前でも調略を仕掛けますか」
 片倉は政宗の調略の話もした。
「そうしますか」
「そして切り崩してな」
「動けぬ兵を増やしますか」
「そうすることも考えておる」
「そうですか」
「そしてこちらに寝返る者はな」
 そうした者はというと。
「引き込む」
「そうして芦名家の戦力を切り崩しますか」
「これまでもそうしてきたが」 
 それでもというのだ。
「戦がはじまるまでもな」
「そうしますな」
「そしてな」
 そしてというのだ。 
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