| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国異伝供書

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百十五話 孤立無援その二

「だからな」
「それで、ですな」
「あの家の家臣達に話をして」
 そうしてというのだ。
「家の然るべき御仁にな」
「ご当主になってもらいますか」
「そうしてな」
「我等の中に入れますか」
「そうするか」
 こう言うのだった。
「これよりな」
「それでは」
「そのこと今より話す」
 そうするというのだ。
「よいな」
「それでは」
「小次郎に入ってもらおうとも考えたが」
「それは、ですか」
「わしは弟は小次郎だけじゃ」
「だからですな」
「出来れば傍に置いてな」
 そのうえでというのだ。
「働いてもらいたい」
「そうお考えですか」
「だからな」
「小次郎様については」
「田村家に行かせぬ」
 そうするというのだ。
「あの家は義父上の弟君のお子にな」
「なってもらいますか」
「田村家の主に」
「そうしてもらいますか」
「おそらく芦名家も動くが」
 今の時点で伊達家の最大の敵であるこの家もというのだ。
「我等はな」
「それよりもですな」
「先に動き」
「そして、ですな」
「田村家を取り込みますな」
「既に白河の結城家と相馬家は取り込み」
 そしてというのだ。
「大崎家もそうした」
「ですな、葛西家も遂に降りました」
「大内家もそうしてです」
「岩城家もそうなるのは時間の問題」
「ではですな」
「ここで、ですな」
「田村家を完全に入れ」
 政宗はさらに話した。
「それからな」
「芦名家ですな」
「あの家ですな」
「あの家と戦い」
「雌雄を決しますな」
「その様にする」
 こう言ってそうしてだった。
 政宗は早速田村家への調略に動いた、家の家臣達の多くを抱き込んでそのうえで自分が望む者を擁立せんとした、だが。
 政宗は小次郎からその話を聞いて苦い顔で述べた。
「芦名家だけでなくか」
「はい、佐竹家もです」
 小次郎も眉を曇らせて述べた。
「動きまして」
「それでじゃな」
「巻き返しを計っています」
「そう来ると思っておったが」
「佐竹家も動くと」
「うむ、ではな」
「こちらとしてはですか」
「よりじゃ」
 これまで以上にというのだ。
「多くの者に銭や貫を渡してな」
「取り込みますか」
「うむ、女や男を渡してな」
 そしてというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧