戦国異伝供書
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第百十五話 孤立無援その一
第百十五話 孤立無援
政宗は佐竹家や芦名家を軸とする五家との戦に勝ちその名を高めた、それからも戦を続けていった。
大崎家と戦い芦名家と戦い他の家とも戦った、そうして徐々に領地を増やしていって数年が経った。
その中で政宗は天下の話を聞いて眉を顰めさせた。
「もうか」
「はい、織田家が動きだしました」
「瞬く間に朝倉家を降し浅井家を取り込みました」
「そしてさらにです」
「今度は本願寺との戦に入ったとか」
「早いのう、何時か動くと思ったが」
それでもとだ、政宗は重臣達の話を聞いて述べた。
「もうか」
「そうしてです」
「越前と近江を完全に手中に収め」
「本願寺の一向一揆と戦い」
「かなり有利に進めているとのことです」
「左様か、それではな」
政宗は苦い顔で述べた。
「わしが奥羽を統一する頃にはな」
「天下の大部分を制していてもですか」
「おかしくないですか」
「そのことも」
「不思議ではないですな」
「そうであるな、だがわしもここに来てじゃ」
政宗はここで強い声で述べた。
「足場を完全に固め軍勢も整った」
「鉄砲も増えました」
「今や千丁を優に超えています」
「奥羽の他の家は鉄砲を碌に以ておりませぬ」
「それではですな」
「戦をしてもですか」
「勝てる、では他の家をどんどん攻めていこう」
こう言うのだった。
「これよりな」
「では殿、いよいよですな」
片倉が言ってきた。
「芦名家と雌雄を決しますな」
「そうする、芦名家を完全に降してな」
そうしてというのだ。
「会津を完全に手に入れてな」
「そこからは北に上がり」
「大崎家や南部家も降し」
「最上家を従え」
「奥羽を手中に収め」
そしてというのだ。
「奥州探題と羽州探題にもなりな」
「権威も手に入れて」
「関東に入りな」
「関東も手中に収めますな」
「そうする、織田家が完全に西国を統一するまでにな」
「それまでにですな」
「東国の覇者となる、ではその為にな」
まさにというのだ。
「芦名家をな」
「降しますな」
「これよりな」
こう言ってだ、政宗は奥羽随一となった軍勢で戦おうとした。だが彼が芦名家との戦をはいzめようとした時に。
その報を聞いて稀は顔を顰めさせた。
「義父上がか」
「はい」
成実が答えた。
「先日です」
「そうか、ではな」
「田村家はこれで、です」
「ご当主を失ったな」
「そして跡継ぎの方がおられませぬ」
「そうなったな」
「そこをどうするか」
「それが問題であるな、手を打つか」
考える顔での言葉だった。
「すぐにな、しかしな」
「田村家もですな」
「取り込もう、あの家は奥の実家」
愛姫のというのだ。
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