毒親達の末路
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四章
「ご近所に悪評が流れてな」
「誰か流したのか?」
「悪い噂ってのはすぐに流れるものだろ」
「ああ、そういうことか」
「話に尾鰭が付いてな」
そのうえでというのだ。
「それでご近所付き合いもなくなった、けれど生活保護で暮らせるだけの金はあってな」
「その金で酒に逃げてか」
「夫婦でな、それでだよ」
「ああなったんだな」
「もう廃人だろ」
今の二人はというのだ。
「ああなったら」
「もう長くないな」
「二人共近いうちに酒で死ぬ」
そうなるというのだ。
「その姿をお前とな」
「ふわりにか」
「見せてやりたかったんだ」
「そうだったんだな」
「あれが人間の屑供の末路だ」
父は吐き捨てる様にして息子に話した。
「覚えておけよ」
「自分の都合で子供でも放り捨てる連中のか」
「そして自分を愛してくれている相手を死ぬかも知れないところに送った馬鹿共だ」
「保健所にか」
「そうだ、そうした連中はな」
まさにというのだ。
「最後はああなるんだ」
「そうなんだな」
「それでふわりに見せてやりたかったんだ」
「自分を捨てた連中の末路をか」
「ああなるってな」
「そうか、けれどふわりは別にな」
ふわりは今は洋介が抱いている、その手の中でかつての自分の両親を見ていた。だがその目はもうだった。
記憶にないものを見ているものだった、おそらくかつての両親の記憶はまだあるが。
それでも今の二人を見てもわからない様だった、洋介はそのふわりを見て言った。
「わからないみたいだな」
「それならいいさ、人手も犬でも平気で人を捨てる様な奴はああなるってな」
「ふわりにもか」
「見せたしな、じゃあな」
「帰るんだな」
「ああ、祈里ちゃんと里菜ちゃんには二人が大人になった時にな」
その時にというのだ。
「実は親は、ってな」
「話すんだな」
「どうしようもない屑だってな」
その様にというのだ。
「言うさ、そして本当の両親はな」
「叔父さんと叔母さんだってか」
「言うな、子供を大事にしない親なんて親じゃないんだよ」
「それで末路はああなるんだな」
「そういうことさ」
文太は洋介に笑って言った、そして息子と娘を連れて自分達の家に帰った。そうして。
洋介は家に戻るとふわりと遊んだ、それから一年後あの夫婦が共に家で倒れ死んでいて死後かなり経ってから腐乱死体となって発見されたと聞いた。それを聞いても洋介は何とも思わずすぐにふわりの散歩に行った。
毒親達の末路 完
2020・11・29
ページ上へ戻る