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かってはいけない

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第三章

「賢い娘だから」
「鳴く時は何かある時だよ」
「自分の居場所知らせたりね」
「家で何かあったな」
「そんな時よ」
 そうした時しか鳴かないというのだ。
「何もなくて鳴かないわ」
「あの家でもそうだったよ」
「そうだったの」
「というかもうずっとゲージに入れられたんだよ」 
 前の飼い主夫婦に子供が出来たらというのだ。
「一日中な」
「お散歩に連れて行かなくて」
「それまで毎日で公園にも連れて行っていたのに」
 それがというのだ。
「赤ちゃんばかり見てな」
「ふわりはゲージの中ね」
「一日中な」
「お家の中にも出してあげなかったの」
「そうだよ、邪険にしてな」
 そうしてというのだ。
「それでだよ」
「物凄く可愛がっていたのに」
「それでだよ、というかな」 
 洋介は目を顰めさせて言った。
「一日中ゲージの中に入れられていたらな」
「ストレス溜まるわよ」
「凄くな」
「それはもう虐待よ」
 その時点でというのだ。
「ワンちゃんを一日中ゲージの中に入れたままとか」
「ご飯やお水はあげていたけれどな」
「それは流石になの」
「もうミルクもなくてお水で一番安いドッグフードばかりで」
「完全に邪魔者扱いね」
「それでゲージの中で一日中鳴くって言ってな」
 それでというのだ。
「自分達も赤ちゃんも寝れないって怒って」
「保健所に連れて行ったのね」
「それで親父が怒って」
 洋介はこの時のことも話した。
「ふわりをうちに連れて来たんだよ」
「そういうことね」
「それで可愛がっていた赤ちゃんも」
「祈里ちゃんね」
 母はその名前も言った。
「あの娘ね」
「下の娘、里菜ちゃんが生まれたら」
「ほったらかしにして」
「それで親父がまた怒っただろ」
「あの時のお父さんは私が知ってる中で一番怒ったわ」
 そうだったとだ、母は息子に話した。
「本当のあの人達を殴りそうだったわ」
「実際に殴るつもりだったよな」
「お母さんにもそう言ったわ」
「そうだよな、それでな」
「弁護士をしているお義兄さんも出て」
「そしてな」
 それでというのだ。
「親族全員が出て」
「奥さんの実家もね」
「祈里ちゃんの育児放棄とふわりのことが問題になって」
「祈里ちゃんどころか里菜ちゃんの親権放棄させられて」
「親戚全員からな」
「奥さんの実家の方でも」
「縁切られたんだよ」
 洋介はそうなったことを話した。
「それで今は二人だけだよ」
「自業自得ね」
「だよな、というかな」
「というか?」
「子供のこともそうだけれどな」
 洋介は母に目を怒らせて話した。
「ずっと大事に出来ないならな」
「飼うべきじゃないよね」
「そして買うなよ」
 最初からというのだ。
「それならな」
「お父さんはあの人達を飽きっぽくって自分勝手って言ったけれど」
「どっちもかなり酷い位だよな」
「そうね、おかしい位に」
「ふわりも娘さん達も可愛そうだよ」
「本当にね」
「あの娘達今は普通に暮らしてるな」
 二人が産んだ娘達はというのだ。 
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