犬から見えた家族の未来
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第一章
犬から見えた家族の未来
百田家に遊びに来て家の夫の親戚である高校生国崎洋介は笑って言った、髪の毛は茶色でしかもやや伸ばしていて服装も所謂ちゃらい感じだ、顔立ちも目つきが鋭く眉も細くしていて如何にも柄が悪そうである。
その彼が如何にも真人間といった感じの夫婦の話を聞いてだった。
自分の近くにいるダークブラウンの毛の犬を見て言った。
「このトイプードルの娘でがですか」
「そう、ふわりっていうの」
家の妻が彼に話した。
「可愛いでしょ」
「そうですね」
洋介は彼女の言葉に笑顔で頷いた。
「毛がふわふわで黒い目がきらきらしていて」
「ペットショップで一目惚れしてね」
「それで、ですか」
「うちで飼うことにしたの」
「そうなんですね」
「凄く性格もいいの」
彼女は今度はこう言った。
「優しくて大人しくてね、絶対に噛んだりしないし」
「おっとりしているしな、それでふわりって名付けたんだ」
一家の夫も言った。
「言うことは聞くしな」
「いい娘ですか」
「これからも可愛がっていくよ」
「ずっとね、今度子供も出来るし」
「ふわりにはお姉さんが出来るな」
「そうよね、ふわりも私達の娘だし」
二人は笑顔でこう言った、それで洋介は上機嫌で家に帰ったが家で父にこう言われた。
「その犬捨てられるぞ」
「そんな筈ないだろ」
「あの二人は子供の頃から知ってるんだ」
父の文太は昔ながらの男だ、黒髪を角刈りにしていて痩せた顔と身体だ。目は細く鋭く背は一七八位あり息子と同じ位の体格だ。
「飽きっぽくて自分勝手な連中だ」
「そうは見えないけれどな」
「どうせ子供が生まれたらな」
そうなったらというのだ。
「その子供ばかり見てな」
「あの犬見なくなるのかよ」
「ああ、そしてな」
そのうえでというのだ。
「犬を捨てるぞ」
「邪険にしだしてか」
「犬は鳴くものでトイプードルは鳴く種類だけれどな」
犬の中でもというのだ。
「そんなのお構いなくな」
「五月蠅いとか言ってか」
「邪険にしだしてな」
「捨てるのかよ」
「そうする、多分その犬は間違いなくいい子だ」
「そうだったぜ」
実際にとだ、洋介は父に答えた。
「俺が見てもな」
「いい子だったな」
「鳴くのは愛嬌で何かあった時にだけな」
「鳴いて知らせるな」
「そんな娘だったよ」
「そんな娘でも邪険にしだすぞ」
子供が生まれたらというのだ。
「その時に俺は動くからな」
「動くってどうするんだよ」
「見てればわかる」
父は今はこう言うだけだった、そして。
数ヶ月後百田家に子供が生まれた、そうして。
洋介はその祝いに家に行くとだった、二人は娘は可愛がっていたが。
ふわりはケースに入れられていた、洋介はそれを見て父の言ったことを思い出しつつ二人に尋ねた。
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