雲は遠くて
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169章 All You Need Is Love ( 愛こそは すべて )
169章 All You Need Is Love ( 愛こそは すべて )
川口信也 と 森下 きな は LINE のメールを 毎日 続けている。
「 やっと ベッドに 入れたよ。
きな さんは お勉強ですよね。(^-^)
ぼくは「檸檬」(レモン)っていう 10ページ もない
短い小説を 読んでいて さっき 読み終わった。
東京の 丸善という 書店の中で、画集を見ながら、
その本を 積んで、てっぺんに、黄色い レモンを 置いて、
その レモンを わざと 置いたままにして、店を出るっていう話ですよね。
その レモンを 爆弾だと 想像して、丸善の 書店が 爆破されるって
空想しながら、また 街を 歩くって 話。
作者は、梶井基次郎って人で、今でも、天才だって、言われてる。
もう 100年前の人で 30歳くらいで 夭折で 亡くなったけどね。
さだ まさし の歌に「檸檬」てってあるよね。
その歌は、この小説が、もとになって作られたそうです。」
信也は、さだ まさし の歌の「檸檬」の動画と
青空文庫の 梶井基次郎の「檸檬」を、共有にして、
きなの LINE に 転送した。
「 さださんも、梶井が 好きなんだろね。
その『檸檬』って小説に、レモンの黄色い色や
紡錘形の恰好が好きで、
非常に幸福であったって書いてあるんだ。
人は 美しいものに 愛を感じて 幸福になるんだろうね。
愛って ひとことで言えば、アルボムッレ・スマナサーラっていう
スリランカの仏教の長老さんは、わかりやすくって。いいこと言っている。
『愛している』を わかりやすく具体的に言ったら『必要な存在である』
ということだと私は思います。だってさ。
ウィリアム・エヴァレットという上智大学の教授で日本に帰化した人の本に
『生きることと愛すること』っていう いい本があるんだ。
この本の終わりには、『 経済制度と愛 』と 題して、いまの 資本主義や
社会主義に対して その欠陥に 警鐘を 鳴らしているさ。
『私たちは、自然のなかにも芸術のなかにも、そして仕事のなかにも、
その美の暗号を解き、愛の言葉を読みとれるように、
心の目を養わなければならない』って書いてある。
ビートルズの 歌に『 All You Need Is Love 』
( 愛こそは すべて )というのがあるんだけどね。」
信也は、ビートルズの 『 All You Need Is Love 』の動画を、
共有にして、きなの LINE に 転送した。
「『 愛が あれば それでいい。愛 さえあれば
何もいらない。愛 こそは すべて。』
って、歌っているけどね。
そのとおりだと思いますよ。ぼくは。
この 世界は『 愛 』で、できているんだと思うんだよね。
ぼくは きな さんを 愛して、
『 愛 』の大切さとか 不思議さとか 神秘さとかを 感じている。
これって、理屈とか理論とかでは、説明できないようなことだよね。
「愛」は 感じることから、始めるしかないのかもね。
だから、人によっては、愛なんて、ないものだし、
愛を 感じる人には 愛はあるのだし 存在するし 大切なものなんだよね。
やっぱり ビートルズは 偉大だと思う。
愛こそ すべてだと思うよ。
きな さんを 思っているときが、ぼくは 1 番 幸せを感じているから。(^-^)
ビートルズの歌のとおりです。
きょうも 元気に 楽しく ガンバろね。」
「うん」
信也の 長いメールに、きな からは、そう メールが 届いた。
☆参考文献☆
<1> 生きることと愛すること ウィリアム・エヴァレット 講談社現代新書
<2> 最良の選択 アルボムッレ・スマナサーラ 誠文堂新光社
≪ つづく ≫ --- 169章 おわり ---
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